じゅりれな小説短編・長編

□傷ついた翼広げて
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8月上旬、暑さが厳しい中、秋葉原中学校3年生の珠理奈(松井珠理奈)は、1人キャンプ場に来ていた。夏休み中であるこの時を狙ってキャンプ場の近くにテントを張ってしばらくの間野宿をすることにしたのである。


珠「…ふう、こんなもんかな。」


珠理奈はテントの組み立てを終えたところである。

そもそも珠理奈はなぜ1人で野宿をしに来たのか?その理由は一言でいえばいろんなことに嫌気がさしたからである。

珠理奈はソフトボール部の一員であり、珠理奈が1年生の時と、2年生の時、大会で優勝した。それだけの実力を持っているのである。だが、今年は予選1回目で敗退してしまったのである。それにはいろいろと原因があったのである…。

なんと大会当日に、部員が3人もバスケ部に持っていかれたのである。これまでにも2度同じ出来事があった。今回のバスケ部の大会が終わったら部員をちゃんと返すと顧問の先生は言っていたが、珠理奈たちは3度も嘘をつかれ、その時、珠理奈は怒りを爆発させたのだ。


珠「先生たちとバスケ部の為のソフトボール部じゃない!あたし達のソフトボール部だ!」


だが、そんな珠理奈の意見を先生はまともに聞こうともせず、「チームを乱す奴はいらねえ。」と言われ珠理奈は最後まで試合に出してもらえなかったのである。珠理奈や部員3人が抜けた穴がでかく、騒ぎを起こしてしまったことで大会に集中できなくなったこともあってソフトボール部は1回戦で敗退してしまったのである。

ちなみに部員をバスケ部に持っていかれた理由は人数が足りず、試合に出れないとのことであった。なんとバスケ部は優勝してしまったのである。

翌日の朝のホームルームでは先生に部員の為を思って行動したのかもしれないが、理由はどうあれ珠理奈の起こした行動で部員たちは実力の半分も出すこともできずに負けた、我慢していればみんなで笑顔になれたかもしれない、後先の事を考えて行動してほしいと言われたのだ。

大人たちは誰も珠理奈たちの気持ちを分かってくれなかった。珠理奈は部員のみんなに避けられていると思った。それでいろいろと嫌気がさし、部活にも行かなくなり、父の反対を押しきってまで1人で野宿をしに来たのである。母は珠理奈が小学5年生の頃に病気で他界した。

テントの組み立てを終え、夜になった。


珠「今日はあんま食欲ないし、もう寝ようかな…。」


珠理奈は就寝の準備に入った。


珠「…もう黙って大人たちの言うことを聞く日々はたくさんだ…。」


珠理奈は不満を言いながら夢の世界に入っていったのである…。



つづく
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