48G小説特別編
□寂しがり屋なあっちゃん(あつともゆう)
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〜あっちゃんside〜
あたし、前田敦子は11歳で小学5年生。
5歳年上で高校1年生のともお姉ちゃん、お父さん、お母さんの4人で家族として暮らしています。
だけど…
お父さんとお母さんはここのところ、仕事に追われてて、ともお姉ちゃんも色々と忙しくて家に帰って来るのが遅い。
家に帰って来ても家にいるのはあたし1人だけ。
もう…
寂しいよ…
敦「早く…帰って来てよ…お姉ちゃん…」
あたしは何の意味もなく、独り言を言った。
そして…
敦「うっ…うぐっ…!うぅっ…!」
あたしは泣き出してしまった。
そんな時…
ピンポーン。
家のチャイムが鳴った。
敦「誰だろ…?」
あたしは玄関に向かい、ドアを開けた。
するとそこには…
優「あ〜っちゃん♪」
1歳年上で近所に住んでいる優ちゃんの姿があった。
優ちゃんとはお付き合いしています。
でも、ともお姉ちゃんはあたしが優ちゃんと付き合うのに賛成してくれません…
理由は色んな女の子と遊んでいるから、だそうです…
けど、それでもいいもん…
敦「優ちゃん、どうしたの…?」
優「遊び来たの〜♪ここんとこあっちゃん家に1人で寂しいだろうなって思って♪あまりの寂しさにあっちゃん泣いてたんじゃないのかなぁ〜って思ったんだ♪」
だって…
こんな風にあたしの心配してくれるから。
ともお姉ちゃんは知らないんだ。
優ちゃんはすごく優しいんだってこと。
敦「な、泣いてないもん!」
けど、本当のことを知られたくないあたしは精一杯の強がりを見せた。
敦「そ、それより上がってって♪」
優「おじゃましま〜す♪」
あたしは優ちゃんを家の中に入れてあげることにした。
〜優子side〜
あたしは1歳年下の彼女、あっちゃん家の中に上がらせてもらった。
ここんとこ家の中で1人ぼっちのあっちゃんのことが心配になってきたから…
あっちゃん、さっき泣いてないって言ってたけど…
無理して強がってるのバレバレ。
あっちゃんって、何気に強がりな部分があるからなぁ…
敦「優ちゃん、何する?」
優「とりあえず、ゲームやろう♪」
あたしはとりあえずシューティングゲームをやることにした。
敦「うわぁ〜♪優ちゃん上手〜♪」
優「これくらいなら何度もやってれば出来るようになるよ♪あっちゃんもやってみる?」
敦「やるやる〜♪」
あっちゃんはゲームをやり始めた。
敦「ん〜!何これ〜!できない〜!」
優「あっちゃん、落ち着いて。ここはこうして…」
あっちゃんは思うように出来ず、悔しがっていた。
あたしはあっちゃんにアドバイスをすることにした。
敦「やったぁ〜♪できたぁ〜♪ 」
優「うん♪その調子でやれば大丈夫だよ♪」
自分の思った通りにクリアできたあっちゃんはすごく喜んでいた。
あっちゃん、意外と負けず嫌いだもんね。
それからしばらくゲームをやってたんだけど…
敦「…まだ、誰も帰って来ない…。」
時刻は夜8時を過ぎていた。
なのに…
優「遅くまで娘を1人にさせて…一体何やってんだよ…!どいつもこいつも…!」
家族の誰1人、家に帰って来てないのである…
あっちゃんのこと、一体何だと思っているんだよ…!
そう思ったら腹が立ってきた。
敦「…ヒック…!」
寂しさのあまり、あっちゃんはついに泣き出してしまった…
優「あっちゃん…」
敦「もうやだ…!早く…うっ…!誰でもいいから、早く…うぐっ…!早く、帰って来てよぉ…!ううっ…!」
あたしは泣き出したあっちゃんの肩を優しく抱き寄せた。
同時にこの後のことも決めた。
優「…あたしは、ちゃんと傍にいるから。」
敦「え…?優ちゃん…?」
優「…今日、あっちゃん家泊まるよ。もちろん、あっちゃんと一緒のベッドで。」
敦「でも…そんな、悪いよ…優ちゃんのお父さんはどうするの…?」
優「大丈夫♪怒られんのは慣れっこだから♪あっちゃんはそんなこと気にしなくていいの♪ね♪」
敦「優ちゃん、ありがとう…。」
あっちゃんはありがとうって言った後、あたしに強く抱き付いてきた。
敦「今日はもう、一緒に寝よ?」
優「うん。」
その後、あたしたちは一緒にあっちゃんのベッドの中に入った。
敦「優ちゃん、ありがとう…大好き。」
優「あたしも、あっちゃんのこと、大好きだよ。」
敦「うん…お休みなさい…」
優「うん、お休み。あっちゃん。」
あたしたちはそう言いながら眠りに就いた。
〜ともちんside〜
ガチャ。
友「敦子ー、ただいまー。」
ただいまの時刻は夜9時頃。
友はようやく家に帰ってきた。
ここんとこ、ダンス部の方が忙しくて家に早く帰れる機会が中々訪れない日々を送っていた。
そういや、敦子の返事がない…
寝たのかな…?
友は気になって敦子の部屋に行ってみた。
すると…
友「…優子?」
なぜか敦子と一緒に優子も眠っていた。
2人とも抱き合いながら眠っていて、敦子は優子の肩に顔を埋めていた。
友「…そっか。そういうことか。」
2人の様子を見ていて友は気づいた。
優子は友たちの代わりに敦子の傍にいてくれたんだって。
友「ふーん…良いとこあるじゃん。」
友は優子の家に電話を掛けて、今日は家に泊めてあげてほしいと優子のパパにお願いをした。
友はもう一度、敦子の部屋の中に入った。
友「…子どもの割に、しっかりしてるじゃん。見直したよ、優子。」
…そういや明日、ダンス部の大会が終わって、学校も部活も休みなんだった。
明日は久々に敦子と一緒に過ごそう。
でも…
この先、優子に敦子のこと、任せてみてもいいかもね。
ちょっとだけそう思った友であった。
〜fin〜