48G小説特別編
□ありがとう、愛しのぱちゃ(麻里子said)
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ガチャッ。
私は篠田麻里子。
AKBを卒業して約8カ月、今仕事が終わって家の玄関のドアを開けたところだった。
麻(…あなたがいなくなってもう4カ月くらい経つのね…。)
そう、私は今4カ月くらい前に亡くなった愛犬、ぱちゃの事を思い出していた。
私はアレルギー体質なんだけどペットショップでぱちゃに一目惚れし、あまり毛が抜けないと聞きぱちゃを飼うことにした。
甘えん坊のぱちゃ、誰にでも愛されていたぱちゃ。
私はどんなぱちゃも大好きだった。それは今も同じ。
いつからだったんだろう?ぱちゃの体調が悪くなりずっと良くない状態が続いていた。
そして、最後のぱちゃは苦しそうに何度も立ち上がり顔をあげて尻尾を振り笑顔でいつもの甘笑顔、私に背中を向けて歩き出すといきなり深い眠りについてしまった。
4カ月経った今、私は急に寂しさがこみ上げてきた。知らない内に涙を流していた。
麻「ぱちゃ…もう一度、会いたいよ…あなたに…」
私はそんな独り言を呟きながらいつの間にか眠りについていた。
私は夢を見ていた…
アンッ!アンッ!
私は聞き覚えがあるようなないような犬の鳴き声を聞いた。
麻「この鳴き声…え?これって…」
?「アンッ!アンッ!麻里子お姉ちゃん!僕だよ!僕のこと覚えてる?」
私は一匹の犬を見つけた。その姿はどう見ても…
麻「…ぱちゃ?」
?「そうだよ!僕だよ!ぱちゃだよ!…会いたかったよ!」
麻「…私も、会いたかったよ!ぱちゃ!」
私は精一杯の愛を込めてぱちゃを力強く抱きしめた。瞳から滝のように涙が流れた。
ここで私は夢から覚めた…
麻「ん…」
目が覚めたと同時に泣いていた事に気づいた。
アンッ!アンッ!
誰かが犬の鳴きマネをしている事に気づき電気を点けた。
犬の鳴きマネをしている人の正体に気づくのに時間はかからなかった。
麻「…みなみ、あなた何してるの?」
私の目の前にみなみと敦子がいた。家の鍵をかけ忘れてたのね…私。
高「アンッ!アンッ!麻里子お姉ちゃん!僕だよ!ぱちゃだよ!」
麻「…ふざけてるの?」
高「いや、その…ちょっとふざけてました。それと勝手に家の中に上がり込んですいませんでした。」
麻「…ところであなた達は何しにここへ来たの?」
敦「最近、麻里子元気がないって色んな人達から聞いて…でもみなみ1人だと心配だってみなみ本人が言ってたからあたしも来たってわけ。」
麻「そうだったの…。」
高「でも、今その理由が分かった気がするっす。」
麻「…え?」
高「ぱちゃの事ですよね?」
その時、私は思った。
あの時、ぱちゃは私を元気づける為に会いに来たんじゃないか。
だからぱちゃは天国からみなみ達に伝言を伝えるよう頼んだのではないか。
あのふざけた犬の鳴きマネで。
麻「…うん。でももう大丈夫。元気をだしてってぱちゃが会いに来てくれたから。」
敦「きっと、伝言を伝えに来たんだよ。頑張ってって。」
麻「ううん、伝言を伝えてくれたのはあなた達よ。ぱちゃが天国からあなた達にお願いしたの。元気をだしてって、僕の分まで頑張ってって。」
高「それ、何かいいっすね。」
敦「うん、麻里子がそう言うならあたしもそう信じたい。でも…今日は悲しいの我慢しないで?あたしの胸、貸してあげる。」
麻「敦子…ちょっとだけ、借りるね。」
私は敦子の胸の中で泣いた。
でも、この涙は明日からまた新たに頑張れるようにするための涙。
愛しのぱちゃへ
伝言はちゃんと受け取ったよ。
ありがとう!
これからも私の事見守っていてね!
fin