さやみる小説

□旅立ちのとき(さやみる)
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〜みるきーside〜





私、渡辺美優紀は難波高校3年。





卒業まで後3カ月前ってな時、私は同じクラスの彩ちゃんに呼ばれとる最中やった。





彩「みるきー、ちょっとええか?」

美「うん、ええけど…」





彩ちゃんに呼ばれ、私たちは自分らのクラスの教室前の廊下まで移動した。





彩「突然ごめんな。」

美「ええけど、どうしたん?」

彩「あたしな…みるきーとは別の大学に行くことにしたんや…」

美「えっ…!?な、何でなん!?だって、私と同じ大学に行こうって約束したやん!?」

彩「あぁ…そうやったんやけどな…あたし、やっぱ自分の気持ちに嘘ついてまでみるきーと同じ大学に行こうとは思えへんねん…」

美「嘘やろ…!?何で今まで私に黙ってたんやっ!」

彩「話したら…お前、絶対あたしを同じ大学に行かせようとするやろ?せやけど、みるきーと同じ大学の内定を取り消した今ならみるきーは手出しできひん。それと…」

美「それと…何なん…!?」

彩「…別れてくれへんか?離れてまでみるきーとは付き合えへんと思うんや…」





何が何だか訳が分からへんかった…





約束を破られてもうたことに腹も立ったし、悲しくもなってもうた…



とにかくショックやった…





美「そうですか…彩ちゃんの嘘つきっ!!!彩ちゃんなんてもう知らんっ!!!!!」





それから私は彩ちゃんとこれっぽっちも話さなくなってった。



けど…





それでも私は彩ちゃんのことが好きで…



せやけど…



あんなにぶちギレてもうた以上、彩ちゃんとは気軽に話せんくなっていた…





それでも、やっぱ私は彩ちゃんのことを諦めきれへんかった。





そこで私は卒業式が終わった後にあることをしてみようと思うた。



ほんである計画を立て、ついに迎えた卒業式…





美「お呼び出し致します♪彩ちゃん、3年の山本彩ちゃん♪今から放送室に来てください♪」





私は今、卒業式を終えた後、放送室で彩ちゃんのことを呼び出していた。



先生、よう貸してくれたもんやなぁ、放送室。



そして、私はこの放送を利用して…





美「早く来てくれへんと、私は彩ちゃんに好きやと告白しまくります♪」





彩ちゃんに告白することを…





やっぱり彩ちゃんのことが好きなんやと言うことを考えていた。





美「この放送を聞いとる彩ちゃん、さては学校から逃げようとしとるん?そうはさせへんで♪このまま何もなく別れるなんて私は嫌や!そこで、皆さんに彩ちゃんの特徴やらチャームポイントやらお伝え致します♪彩ちゃんの胸はDカップで、チャームポイントは口元と両鎖骨のほくろです♪見かけたら捕まえて放送室まで連れてきはってください♪では、待ってま〜す♪」





よし♪



後は彩ちゃんが来るまで好きやと言いまくるだけやな♪








〜さや姉side〜





い、一体何が起きとんねん!?





何でみるきーが放送室使っとるんや!?





美「彩ちゃ〜ん♪好き好き好き好き好き好き好き好き…」





ホンマ、何考えとんねん…





あいつ、こんなことして恥ずかしくないんか…?



聞いとるこっちがはずいわ…





放送室行ったら絶対面倒な目に会うわ…





誰かに捕まる前にとっとと脱出しよ…



と思うてたその時…





菜「さや姉、ここにおったんやな♪」





あたしは同じクラスの山田に見つかってもうた…





彩「げっ!?山田!?…そうはいくかっ!」





あたしは何とか山田を振り切ろうと別の方向への逃走を考えたんやけど…





愛「残念やったな、彩♪ほな、放送室まで一緒に行こうな♪菜々も手伝ってな♪」

菜「分かっとるで♪」





あたしは愛菜に捕らえられてしまい、愛菜と山田の手で無理くり放送室まで連れてこられてもうた…





彩「おいこらっ!離せやっ!」

美「例え離れ離れになってもうても、私は彩ちゃんのことずっと好きや!離れてからも…私は彩ちゃんの彼女でいたいんや!」





放送室前まで着くまでの間、みるきーの放送はホンマうるさかった。



こうなりゃ、このうるさい放送をやめさせたる!





あたしはドアを乱暴に開けながら放送室の中へと入った。





彩「お前、アホかっ!何考えとんねんっ!!!」

美「あ、彩ちゃん♪待ってたで♪」

彩「待ってたで♪…じゃないやろっ!お前、あたしがどんだけ恥かいたと思っとんねんっ!!!」

美「だって…こうでもしないと彩ちゃん、私と話なんてしてくれへんやん…」





みるきーの表情が暗くなり始めてもうた。



あたしのマジギレが効き始めたんやろな。



それでもあたしの怒りは治まらへんかった。





彩「こんなこと、先生たちが許すと思っとんのかっ!」

美「許可ならもらったで…」

彩「先生たちも何考えとんねん…おい、今すぐこっから出るで。これ以上、変な放送流してあたしに恥かかすのやめろや。」





あたしはこれ以上、はずい思いをしたくなくてみるきーの腕を掴み、放送室から出ようとしたんやけど…





美「…やめへん!」





みるきーはここから出されへんよう暴れて抵抗してきおった。





彩「くそっ!暴れんなっ!」

美「愛菜ちゃん!菜々ちゃん!扉押さえててや!今ここで彩ちゃんに出て行かれたら私たちの関係はホンマにおしまいや!」

愛「お、おう!」





みるきーから指示が出た後、愛菜と山田は扉を押さえ始めた。





彩「おいっ!開けろやっ!」





ドアノブに手をかけながらドアを蹴飛ばしてもドアは開かへんかった。





彩「くそっ!ええ加減にしろやっ!!!!!」

美「絶対出さへんっ!彩ちゃんの気持ちを聞くまではっ!しょうがないやろっ!!!こうでもせえへんと彩ちゃん、何も言わずに私から離れてまうんやからなぁっ!!!!!」





みるきーはあたしに負けへんくらいの怒りをぶつけてきおった。



せやけど…





今のこいつには腹立たしい気持ちだけでなく、悲しい気持ちもあるように見えた。





そりゃそうや…





こいつ、今にも泣きそうな顔しとるんやからな…





美「お願いや…何か、言うてや…彩ちゃん…!このまま何もなく別れるなんて…嫌や…!」





…みるきーのためや思うてた。



遠距離恋愛なんてしておったらみるきーは寂しさに耐えられへんに決まっとる。



そう思うたあたしはいっそのこときっぱり別れた方がお互いのためやと思うてた。





せやけど…





そう思うてたのはあたしだけやった。





そう、言い聞かせてただけやったんや…





こいつの気持ちなんてかけらも考えてへんかった…





泣かせてもうて何がみるきーのためや…!





ここまでハッキリ気持ちをぶつけてくれたこいつのために、あたしも自分の気持ちに正直になることにした。





彩「ごめんな…あたし、みるきーのためや思うて別れることを決めたんや。せやけど…そう思うてたのはあたしだけであんたの気持ちなんて何も考えとらんかった。それに…今になって気づいたんやけど、あんたのためや言うてたけど、ホンマなところは、あたし自身、自分に自信が持てなかっただけやったんや…離れてからもあんたを幸せにする自信がな…」

美「…私はええよ。」

彩「え…?」

美「…遠距離になっても、私はええよ。ホンマは嫌やけど…私は、これからも彩ちゃんのことを好きでいられる自信があるから。せやから、私、彩ちゃんとなら遠距離恋愛になってもかまへんで。」





せっかくこれから告白しよう思うたのに…



先越されてもうたわ。



それでも、伝えなアカンな。



1番伝えなアカンことを。





彩「…今さら、進路を変えることはできひんし、変える気はあらへん。せやけど、それでもええんなら…遠距離恋愛になってもええんなら…あたしともう一度付き合ってほしい。あたしも、あんたのことが好きやから。」





言うだけのことは言うた。



後はこいつの返事次第や。





そして、みるきーの出した答えは…





美「私は最初っからそのつもりや♪これからまたよろしくな♪」





みるきーはあたしの告白を受け入れ、あたしに抱きついてきおった。





彩「…ほな、そろそろ行こか。」

美「うん♪…あっ、その前に…」





みるきーは放送室の音量を調整しに行った。





美「彩ちゃん♪実はな…1つおもろい話があんねん♪」

彩「おもろい話?」





みるきーは何かを企んでいたかのように顔をニヤニヤし…





美「私たちの今までの会話な…全部放送で流してたんやで♪」

彩「な…!?///」





あたしたちの会話、全部聞かれてもうてた…!?///



アカン///



はずすぎるわ…!///





彩「こんの…ドアホ〜〜〜〜〜っ!!!!!///」





この後、周りの視線を気にしながらみるきーと一緒に学校を出たってのは言うまでもない話やな…///





〜fin〜

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