あつとも小説

□旅立ちのとき(あつとも)
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〜あっちゃんside〜





あたし、前田敦子は秋葉原高校3学年。





あたしたちは今日、卒業という日を迎え、卒業式が終わった後、あたしはお友達の麻里子と一緒に下校しようと玄関で外靴に履き替えている最中だった。





敦「ついに今日で高校とお別れかぁー。」

麻「ほんとにそうね。長いようであっという間な3年間だったわよね。」

敦「それだけ充実した高校生活を過ごしてきたんだね。あたしたち。」

麻「そうね、本当に楽しかった♪…楽しかったというか充実というか、それで思い出したんだけど…」

敦「何…?」





あたしたちはこのタイミングで玄関を出た。





麻「…誰かに告白されましたとかってのは今日までなかったのかしら?」





麻里子は少し意地悪な顔をしながらあたしに質問をしてきた。





敦「うーん、ないなぁ。そういう麻里子はどうなの?」

麻「私も、敦子と同じよ♪」

敦「そっかぁ。麻里子ならモテると思うんだけどなぁ…」





何て恋バナをしていたその時…





ビュウウウ!





敦「きゃっ!?」





いきなり強風が吹き、あたしは慌てて手でスカートを押さえた。





敦「もぉ〜…卒業式の日に風強いってどういうこと〜…?」

麻「ほんとね…もうちょっと天気良くなってほしかったわね…後もうちょっとで敦子の下着見えちゃうとこだったし♪」

敦「も、もう!///麻里子!///」





あたしは麻里子のジョークにちょっとムキになってしまった。



そんな時だった…





トン。





敦「ん…?」





あたしの頭に何かが当たった。





麻「どうしたの、敦子?」

敦「うん、何かが頭に当たったような気がして…」

麻「…その紙飛行機じゃない?敦子の足元に落ちてるそれ…」

敦「え…?」





足元を調べてみると、確かに紙飛行機が落ちていた。



あたしはその紙飛行機を拾い上げた。



よく見てみると、紙飛行機には何か字が書かれていた。





敦「何か書かれてる…」

麻「…試しに広げてみない?」





あたしは麻里子の言う通りに従うことにし、紙を広げてみた。



すると紙には…





敦「…!///」





『敦子が好きだ 友』





と、書かれていた。





麻「友…?もしかして、この手紙書いたのって…?」





麻里子が何かを言いかけたその時…





タッタッタッ。





友「ハァ…ハァ…」




息を切らしながらともがあたしたちの前に姿を見せた。








〜ともちんside〜





それは少し前の出来事…





卒業式が終わった後、友は1人、屋上の金網に背を預けながら座っていた。





友「この手紙、どうしようかな…?」





そして友はある悩みを抱えていた。



その悩みというのが友が今、手に持っている手紙のこと。



この手紙…





実はラブレターなのである。



んで、このラブレターを…





友「敦子…」





敦子に渡そうと思っていた。



だけど…





敦子は友のことをどう思っているんだろう…?



それが分からない。





敦子の気持ちが分からないせいか、友は敦子に自分の気持ちを伝えられずにいた。



友は普段、物事はハッキリ言う方だけど、これほど臆病になるのは初めてだ。





友は知らなかったんだ。





本気で誰かを好きになると恋に臆病になってしまうことを。





それで友は1人、敦子に気持ちを伝えられないまま屋上にいるのである。





友「…いっそのこと、捨てちゃおうかな?」





と言ってみたものの、それはそれでもったいないと思い、試しにこの手紙で紙飛行機を作ってみた。





友「…中々良い出来じゃん。」





試しに作ってみた紙飛行機の出来に、友は満足した。





友「…友の想いよ、敦子に届け。」





早速紙飛行機を屋上から飛ばしてみようかなと思ったんだけど…





友「…なんてね。」





手紙を見られたらマズイと思い、友は紙飛行機を飛ばすのをやめ、床に置いた。



その時…





ビュウウウ!





友「うわっ!?」





いきなり強風が吹き、同時に…





友「えっ!?」





強風が吹いたことで、紙飛行機が飛んでってしまった…





友「うわぁ〜!?マ、マズイよ…これ…!?」





友は紙飛行機が落ちる所を必死に目で追った。



そして、紙飛行機は…





友「あっ…///」





運悪く、校庭にいる敦子たちの所に落ち、拾われてしまった…



見られたらマズイよ…!?



早く…



取り返しに行かなきゃ…!?





友は猛ダッシュで屋上から階段を下ってった。





少しして、友は校庭にいる敦子たちに追いついた。





友「ハァ…ハァ…」





猛ダッシュで来たため、友はかなり息を切らしていた。



でもそんなことより敦子たちから手紙を取り返さないと…!





友「そ、その紙さ…その…友のお友達がうっかり落としちゃって、えっと…あの…///」

麻「ふーん?それで?」

友「だからさ…その紙、返して?///」





友は麻里子から手紙を取り返そうとしたんだけど…





麻「おっと♪私から取り返せるかしら♪」





麻里子は意地悪をしてきた。



身長の高さを利用するなんてズルい…





友「ちょっと!返してよ!///」

麻「ほらほら♪取り返したきゃ頑張って〜♪早くしないと、中見ちゃうかもよ〜♪」





それだけは絶対だめ!///



何が何でも取り返さなきゃ!///





友「だから返してってばっ!!!///」





友は何とか麻里子から手紙を取り返すことができた。





友「もう…!///」





手紙を取り返し、友はその場から離れようとした。



でもその前に、一応手紙を読まれてないかどうかの確認をとることにした。





友「中、見てないよね…?」





すると…





麻「…あんたさ、このまま逃げちゃっていいの?」

友「え…?」





麻里子が妙なことを言い出した。





麻「もうとっくに気づいてるのよ。私も敦子も、あんたの気持ち。」

友「え?それって…?」

麻「今から敦子の気持ち、聞いてあげて。そっからどうするかはあなた次第よ。」

友「う、うん…」





麻里子は友と少し距離を置き、今度は敦子が頬をほんのり赤く染めながら近づいてきた。



そして、敦子は口を開き始めた。





敦「…あたしも、ともが好きです///」

友「へ…!?///」

敦「あたしの気持ちも、その手紙と一緒です///」

友「あ///やっぱ見ちゃったんだ…///」

麻「いいじゃない、見られちゃって。そのお陰でお互い気持ちを伝えられたんだから♪」

友「…そういうことにしとくよ///」

麻「それで、あんたはどうしたいの?」





…決まっている。



友の返事は…





友「…友と、付き合ってください///」

敦「…はい///」





それから友は敦子の手を掴み…





友「…帰ろっか///」

敦「うん///」





敦子と一緒に帰ることにした。



麻里子はいつの間にかいなくなっていた。



多分、友たちの邪魔をしないよう、気を使ったんだと思う。





帰り道の途中、友は敦子と同じ大学に通うことになることを知った。



こんなことなら告白すんのもっと後でも良かったじゃん、何て思いもしたけど、今なら言える。





友の気持ちをしっかりと手紙に書いてよかったなと。





〜fin〜

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