あつとも小説

□10年前のあなたと今のあなた
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私は板野友美。





友は今、ある後悔をしていた…








それは中学2年の秋頃のこと…








友はあることを聞き、あの子の所へ行って問いつめていた。





友「どうして…どうして今まで友に教えてくれなかったの!敦子!」





そう…



友は敦子に感情をぶつけている最中だった。





敦「ごめんなさい…ともには話しづらかったの…あたし、転校するって…」





友は優子やたかみなから聞いたんだ。





敦子が転校しちゃうって…





それも…





明日、行ってしまうんだって…








友「優子やたかみなには話したのに、友にだけ黙っていたなんて…!」





友は腹が立っていた。





今日になっていきなり転校することが決まったわけじゃないのに…!





友にだけ黙っていたことが許せなかった。





敦「ともはあたしにとって誰よりも大切な人だから…そんな人の悲しむ顔なんて見たくなかったの…」





友のことを大切に思ってくれてるんなら…





いや…





大切な人だからこそちゃんと話してほしかった。





さらに腹が立った友は思ってもないことを言ってしまった…








友「…嘘だね。」

敦「え…?」

友「本当は友のこと、嫌いになったんでしょ?」

敦「そ、そんなことない!」

友「転校することは今日になって急に決まったわけじゃないのに、友にだけは話さない。逃げるように友の前からいなくなろうとした。本当に友のこと好きなら逃げたりするわけないじゃん。」

敦「そ、それは…」





友は敦子の言葉を待たずに話を続けた。





友「…だったらもう行っちゃえば?嫌いなんでしょ?友のこと。早くあっち行ってよ。もう顔も見たくない。敦子なんて…もういなくなっちゃえばいいんだーーーーーっ!!!!!」

敦「…!」




敦子はボロボロ泣き出してしまった。



友はそんな敦子に…





悲しんでいる敦子に気づかないフリをしながらその場を離れてしまった。



何の言葉もなく…








次の日





敦子は転校のため行ってしまった。





優子とたかみなは見送りに行ったけど友は行かなかった。





行けなかったんだ…





あんな、酷いことを言ってしまったんだから…








大きな後悔を残しながら友は翌年の8月を迎えた。





友は1人、夏祭りに来ていた。



花火を見ていた。





敦子のことを思い出しながら誰もいない所で。





友「思い出すな…敦子と花火を見に行ってた時のこと…」





友は去年まで花火を見に行ってた。





そこに敦子だけは必ずいた。





でも…





その敦子はもういない…





友「…敦子、何してんだろ?元気にしてるかな…?」





今日はやたら敦子のことを思い出してしまう。





思い出す度、会いたくなってしまう。





友の感情が溢れてしまいそうになった。



そして…








友「敦子…会いたいよ…敦子に…!」





友の瞳から滝のように涙が流れた。





友は限界を超えてしまった。





もう一度、



敦子に会いたい。





会って、



ごめんって謝りたい。





でも…








友「…こんな勝手な願い、叶うわけないんだ…。」





だって…





あんな酷いこと言ってしまったんだもん…





敦子は、友に会いたくないに決まってる。





だけどせめて…








友「…敦子、幸せになってね…。」





敦子の幸せを願うことだけは許してほしいんだ。



それが、友にできる唯一のことだから…



その時…








フワッ。





友「…え?」





友は突然、後ろから何かに包み込まれた。





これは…



友の好きな匂い…





まさか…?








友「…敦子?」

敦「とも…」





友の思った通り、敦子の温もりに包まれていた。





敦「やっと会えたね。会いたかったよ、とも。」

友「え…?」

敦「ずっと謝りたかった…転校すること、もっと早く話していたらあんなことにはならなかったんじゃないかって…もっと違う別れ方ができたんじゃないかって…」

友「謝らないでよ…!謝らなきゃいけないのは友の方なのに…!友も謝りたかった…!あの時、何でちゃんと見送りに行かなかったんだろって…辛かった…ずっと、謝りたかった…!辛いのは、敦子の方なのに…!」

敦「…確かに、辛かった。ともにだけお別れの言葉をちゃんと言えなくて…でも、あたしは分かってた。ともも辛い思いをしていたことを。だから…ともがあんなに怒っちゃったんだって…」

友「敦子…うっ…!ごめんなさい…!」





敦子は今度は正面から友のことを抱きしめてくれた。





敦「あたしも、ごめんなさい…それから、ありがとう。」

友「うん…!」

敦「…あたしね、またすぐに帰らなくちゃいけないの。でも…今はともと一緒に昔を思い出しながら花火を見ていたいな。だから…」

友「…だから?」

敦「…あたしの大好きな、ともの笑顔を見せて♪今度は、笑いあって帰りたいから。」

友「うん…もう泣かない。」





友は涙を拭い取り、敦子に笑顔を向けた。



敦「ありがとう♪」



敦子も友に笑顔を向けてくれた。





友の大好きな敦子の笑顔を。








その後



友たちは花火を見ていた。





友「…あのね、敦子…」

敦「ん?なぁに?」

友「…友ね、敦子のこと、好き///」

敦「ありがとう♪あたしもとものこと、好きだよ♪」








それから10年後の8月…





友はまた1人、花火を見に夏祭りに来ていた。





もちろん敦子のことを思い出しながら。





そして…








敦「とも♪」

友「敦子♪」








10年後の8月に友は敦子と再会した。





そして





そこには10年前と変わってない友の大好きなあなたの笑顔があった。





〜fin〜
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