ゆきれな小説
□家出からの雨
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玲「もうすぐ私に妹ができるの?お父さん…」
秋栄波小学6年生の松井玲奈は今、父の潤と一緒に病院の分娩室前にいた。
潤「あぁ♪もうすぐ母さんが玲奈のために妹を産んでくれるんだ♪」
2人は母である優子が子供を出産する時を待っていたのである。
潤「だから玲奈、母さんが元気な妹を産めますようにって祈っててほしいんだ♪」
玲「うん♪もうすぐ、私に妹が…♪」
そして…
「オギャ〜!オギャ〜!」
優子は元気な女の子を出産した。
潤「母さん、よく頑張ったな。」
優「うん…!」
潤「玲奈、今日からこの子がお前の妹…つまり、玲奈はお姉ちゃんになるってわけだ♪」
玲「うん♪…可愛い〜♡…ちょっと手、触ってみていい…?」
優「うん♪」
玲奈は軽く赤ちゃんの手を握ってみることにした。
すると…
玲「あっ♡」
潤「ん?どうした?」
玲「今私の手握り返してくれたの♪うわぁ〜…♡」
赤ちゃんは玲奈の手を握り返してくれた。
それから1カ月…
優子は退院し、育児に追われる日々を過ごしていた。
子供の名前は『珠理奈』と名付けられた。
そして、玲奈は中学生になっていた。
実は珠理奈は玲奈が中学生になる1カ月前に産まれてきたのである。
珠「オギャ〜!オギャ〜!」
この日も優子は珠理奈の世話で1日中忙しかった。
優「おぉ〜、どうしたのかな〜?お腹空いたのかな…?」
潤「母さん、多分だけどオムツの交換してほしいんじゃねえのか?」
優「本当に〜?そんなバカな…あっ、ホンマや♪(笑)」
潤「明石家さんまかよ…」
優子もそうだが、潤は優子以上に珠理奈の泣き方で何をしてほしいのかが分かってきたのである。
玲「…。」
だが、この時の優子たちはまだ気づいていなかった…
寂しそうな目で玲奈が優子たちを見ていたことを…
つづく