ゆきれな小説

□バレンタインデー(ゆきれな)
1ページ/1ページ

ゆきれな小説短編『憧れのあの人は生徒会長』シリーズ第3弾。





〜ゆきりんside〜





私、柏木由紀は秋葉原高校3学年の生徒の1人。



元生徒会長であって、今は玲奈ちゃんが私の後を引き継いでいる。



玲奈ちゃんってのは私の彼女の松井玲奈ちゃんのこと。



私は今、明日のことで玲奈ちゃんと学校の廊下で話をしていた。





玲「柏木先輩。」

由紀「ん?どうしたの?」

玲「明日、バレンタインですよね?」





そう、明日はバレンタインデー。



玲奈ちゃんと今、バレンタインのことで話をしていたのである。





玲「それで、明日なんですけど…私の家に、来てもらえませんか?私、チョコ作って渡そうと思っているんです。」

由紀「いいよ♪明日何も予定ないし♪でも玲奈ちゃんチョコ作れるの?」

玲「え、ええ…い、一応…」





玲奈ちゃん、自信無さげな表情をしたように見えたのは私の気のせい…?



でも私は気にしないことにした。





由紀「分かった♪楽しみにしてるね♪」





こうして私はバレンタインデーに玲奈ちゃんの家に行く約束をした。





翌日…





ピンポーン。



私は玲奈ちゃん家の前にいて、チャイムを鳴らしていた。



だけど…





由紀「おかしいなぁ…玲奈ちゃん、いないのかな…?」





さっきからいくらチャイムを鳴らしても玲奈ちゃんが出てくる気配が感じられない…





由紀「鍵は…?」





私は玲奈ちゃん家の前のドアに鍵がかかっているかどうか確かめようとドアノブに手をかけた。



すると…





ガチャ。





由紀「あれ?開いてる…」





ドアには鍵がかかっていなかった。



家の玄関周辺を見回してみると、玲奈ちゃんの靴が置かれていた。





由紀「玲奈ちゃーん、いるのー?」





玲奈ちゃんのことを呼んでみたけど、何の返事も返ってこなかった。





由紀「…何か、あったのかな?」





玲奈ちゃんの身に何かあったのかな…?



そう思ったら心配になってきた。



心配になってきた私は…





由紀「玲奈ちゃーん、入るよー?おじゃましまーす…」





玲奈ちゃん家の中に入ることにした。








〜玲奈side〜





私は今、チョコを作るのに悪戦苦闘していた。



実は私…





料理ができないのである…





玲「ど、どうしよう…!?」





言わなきゃよかった…



チョコ作るだなんて…



でもここまで来て後戻りはもうできないし…



そんな時…





由紀「玲奈ちゃーん、入るよー?おじゃましまーす…」





柏木先輩が家に来てしまった…





玲「な、何とかしなきゃ…!?何とかしなきゃ…!?」





私はパニック状態になり、辺りをウロウロし始めた。



すると…





ゴッ!



ズルッ!





玲「ひゃっ!?」





ズドンッ!



私は何かにつまづいて転んでしまった。



しかも…





玲「うわぁ〜!?材料ひっくり返しちゃったよぉ〜!?」





材料やらせっかく途中まで作ったチョコの入ったボウルやらひっくり返してしまった…





玲「あぁ〜!?もうだめだぁ〜…」





私は諦めモードになっていた。



そして…





由紀「…玲奈ちゃん?」





柏木先輩がキッチンの中に入ってきてしまった…



辺りを見回した柏木先輩は驚いた様子を見せていた。





由紀「ちょ、玲奈ちゃん!?どうしたのこれ!?」

玲「…ヒック…!」





もうおしまいだ…



そう思った私は柏木先輩に申し訳ない気持ちを感じながら泣くのをこらえることができなくなった…





玲「ごめんなさい…ごめんなさい…!うっ…!」

由紀「わわわっ!?玲奈ちゃん落ち着いて!何が、あったの…?」





私は観念してチョコを作れないことを告白した…





玲「私、柏木先輩に少しでも良いチョコを渡そうと思ってて…でも私、料理できなくて…それなのに私、チョコ作れるって見栄を張っちゃって…それで、いざやってみると、やっぱ出来なくて…ごめんなさい…!やっぱり私、何にも出来ないだめな人なんだ…うぅっ…!」

由紀「そんなことないっ!」





私は柏木先輩の胸の中に顔を埋められた。





由紀「誰かのためにこんなに頑張ろうとしている玲奈ちゃんがだめな子だなんて絶対おかしいよっ!私は嬉しいよ。私のために頑張ってチョコ作ろうとしてくれて。例え結果がどうであっても。だから…」

玲「だから…?」

由紀「まずは落ち着こう?しばらく、抱きしめててあげるから。」

玲「はい…」





私はしばらくの間、柏木先輩の胸の中で泣いていた。



本当にこの人がいてくれてよかった。



そう思わずにはいられなかった。





玲「先輩…私、もう大丈夫です…」

由紀「うん。じゃあ…一旦離すね?」





私は一旦、柏木先輩と距離を離した。





玲「でも…チョコ、渡せませんでした…それは、本当にごめんなさい…」

由紀「大丈夫だから。もう、謝らないで。それに…頑張ってチョコ作ろうとしてた玲奈ちゃんに比べれば、私なんて料理出来ない以前にまずやらないから♪えっへん♪」

玲「そこ、威張る所じゃないです…」

由紀「それと、チョコならあるでしょ。」

玲「え…?」





柏木先輩はそう言って、私が途中までしか作っていないチョコを拾い上げ、パクりと食べた。





由紀「玲奈ちゃん、美味しいよ♪」

玲「そ、そんなこと…」

由紀「玲奈ちゃんも食べてみなよ♪」

玲「で、でも…」

由紀「しょうがないなぁ。じゃあ私が食べさせてあげるね♪」





柏木先輩はチョコを口に食わえ、私に顔を近づけ、私は強引にチョコを口の中にねじ込まれた。





由紀「どう?美味しいでしょ♪私の愛も強引にねじ込んであげたんだから♡」

玲「な、何やってるんですか…///だめですよ///私、まだ…///」

由紀「うん、分かってる。玲奈ちゃんのこと大切にしたいから。だけど…」

玲「だけど…?」

由紀「…その時が来るまでそんな遠くないかもよ♡」

玲「そ、それまで、心の準備しておきます…///」





今年のバレンタイン、柏木先輩に恥ずかしい姿を見せちゃったけど、改めて柏木先輩の優しさに触れた私でした♪





〜fin〜

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ