さえれな小説

□旅立ちのとき(さえれな)
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〜佐江side〜





私、宮澤佐江は栄高校3年。





佐江は今、ある出来事を思い出しながらある人のことを想っていた。





それは佐江が高1の時のこと…





佐「てめえ、そこ退けよっ!ぶん殴られてえのかっ!!!」





当時、佐江は地元じゃ有名な不良で周りの人たちには結構恐れられていた。





佐「おい、ぶつかっといてごめんなさいも無しかよ?ぶっ殺されてえのかっ!!!!!」





ぶっ殺すなんて言葉を使うのも日常茶飯事ってやつで時には半殺しにしてやったこともあった。



だけどある日…





佐「ぐあぁっ!?」





佐江は別の学校の女子共に後ろから不意打ちをされ、女子共のいいようにボコられてしまっていた…





女子A「あんたのせいで怖くて外出歩けねーんだよっ!」

女子B「ウチらがどんだけ怖い思いしてきたか分からせてやるよっ!」





くそっ…!



こんな奴ら正面からぶつかっていけば余裕でぶっ飛ばせるってのによ…!





女子C「アハハ!いいザマだね!ねえ、そろそろこいつにトドメ刺しちゃう?」





正直、佐江は死にかけていた…



だけど、案外ここで人生終わってもいいかもな…





昔っからパパとママは仕事で家にいないし、お兄ちゃんたちは家を出て別の所で暮らしているしな…





誰も、佐江のことなんて相手にしてくれなかった…





もう、終わりにしよう…



バイバイ…





そんな時だった…





玲「あなたたち!何やってるの!」





もうすぐ人生を終えられるって時に現れたんだ。



佐江の担任である玲奈先生が。





玲「宮澤君大丈夫!?」





玲奈先生はすぐに佐江の元へ駆けつけてくれた。





女子A「あんた誰?そいつの何なの?」

玲「私は、宮澤君の担任です!」

女子B「担任だぁ?…ごくせんのヤンクミのマネしてんじゃねえよっ!」





ボカァッ!





玲「きゃあっ!」





玲奈先生は女子の1人に顔を殴られ、倒れてしまった…





女子C「ちょうどいい。こいつもまとめてボコってやろうよ。…じゃまするあんたが悪いんだからね、担任の先生。」

佐「先生、佐江のことはいいから逃げろ…!先生じゃ勝てない…!」

玲「…できない!」





女子に殴られた玲奈先生は再び立ち上がった。





玲「私にとって宮澤君はとても可愛い生徒だから…見捨てるなんてできるわけないよ!」

女子A「あんた下手すっと病院行きだよ?」

玲「例え勝ち目がなくても…体を張って守らなきゃいけないものがあるのよ!」

女子B「いい根性だ…なら望み通りにしてやるよっ!」





女子共は再び玲奈先生に殴りにかかった。



マズイ…!



このままだと玲奈先生が…!





ドガッ!



バギィッ!





佐「へ…!?」





何と…





女子共のほとんどが殴り倒されたのである。





…玲奈先生の手で。





玲「…ねえ、怒ってる?」

女子A「ひっ…!?」





玲奈先生の周りには恐ろしいオーラが漂っていた。



先生っておっかねぇとこあんだな…





玲「大事なお友達を殴っちゃったこと、怒ってる?」

女子A「ひぃぃぃ〜…!?」





まだ玲奈先生に殴り倒されてない女子はさっさと逃げてしまった。





玲「宮澤君大丈夫!?早く、怪我の手当てをしてあげなきゃ…!」





抵抗する力が残っていない佐江は大人しく玲奈先生に手当てをしてもらうしかなかった。





その後、玲奈先生は佐江のことを家まで送ってくれた。





何故か分からないけど、佐江は玲奈先生に今の佐江の家庭の環境のことを話していた。





そんな佐江に玲奈先生は『先生も一緒に行くから宮澤君の気持ち、ご両親に伝えてみよう?』と言ってくれた。



それから玲奈先生は言った通りのことをしてくれた。





初めてだったんだ。



佐江のためにここまでしてくれた人は。





それから佐江は家族と触れ合う機会が増え、不良だった佐江自身から卒業することができた。





そっから卒業式を迎えるまで佐江は何とか学校で生活することができた。



そして…



佐江は気づいたんだ。





あん時のどうしようもない佐江に手を差し伸べてくれた玲奈先生にいつの間にか想いを寄せていたことに。





卒業式が終わった後、佐江は玲奈先生の所に向かっていた。





この想いを伝えるために。








〜玲奈side〜





私、栄高校の教師を務めている松井玲奈は 今年卒業することが決まった生徒たちのことを思い出していた。





私は今、私のクラスの教室のベランダで外を眺めていた。





玲「今年も来ちゃったんだな、この時が…」





何て独り言をつぶやいてみたその時…





佐「何が来ちゃったって?玲奈先生。」

玲「わっ!?」





教室のベランダに宮澤君が現れた。





佐「ははっ、良いリアクションだね♪」

玲「み、宮澤君!?…うん、今年も卒業シーズンが来ちゃったんだなって思ってて…」

佐「そっか…」





それから宮澤君は私の隣に来て、一緒に外の景色を眺め始めた。





佐「佐江さ…先生に話したいことがあるんだ。」

玲「話したいこと…?」





突然、宮澤君は真剣な表情で話し出した。



これほど真剣な宮澤君、初めて見たかもしれない。





佐「佐江…玲奈先生のことが好きだ。」





告白、かぁ…



なるほどね。



告白なら真剣にもなるよね。





佐「先生と出会って佐江は変われたんだ。昔、佐江には誰もいなくてさ、こんなつまんない人生とっとと終わらせてやるよってヤケになってた。けど…先生は違った。初めてだったんだ、体を張ってまで佐江のこと助けてくれたの。そして、気づいたんだ。3年間、佐江と向き合ってくれた先生のことが好きだって。」





私は信じられない気持ちが沸いてきた。



だって…



生徒に告白されたの生まれて初めてなんだもん///





んで、私の答えは…





玲「ありがとう。私も宮澤君が好きで…最後まで、宮澤君の成長を見届けることができて嬉しいよ。そんな宮澤君に、私からおまじないをかけてあげるね。」





こんなことしちゃいけないってことは分かってるけど…





佐「…!?///」





私は宮澤君の唇にキスをした。





玲「やっぱ…恥ずかしい///」

佐「自分からしてきといてそりゃないっしょ。」

玲「そ、それもそうだね…///それと、これからも宮澤君の成長する姿を見届けさせてください。」

佐「え?」





私は宮澤君のことを抱き寄せた。





玲「宮澤君の卒業後も、よろしくお願いします♪」

佐「…へへ///よろしく///」





宮澤君、これからはあなたのことを生徒としてでなく、1人の大切な人として成長する姿を見届けさせてもらいます♪





〜fin〜

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