ゆいゆき小説

□旅立ちのとき(ゆいゆき)
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〜ゆいはんside〜





あたし、横山由依は秋葉原高校3年。



あたしは今、ある悩みを抱えていた。





由依「…なぁ、りっちゃん。相談したいことがあるんや。」

北「横山、どうしたの?」

由依「…あたし、きりんさんのこと、好きや。」





そのある悩みってのがきりんさん…



ゆきりんさんのことで、それを友人のりっちゃんに相談しとる最中やった。





北「まぁそうだろうなとは思っていたよ。それで、横山はどうしたいの?」

由依「…好きって告白したいんや。ただ、どんな告白にしようか決まらんくてな…」





ほんで、あたしの悩みの内容を少し説明するんやけど、あたしはきりんさんに告白することを考えていた。



せやけど、どんな告白をすればええんか分からへん…





そう、これがあたしの悩みでりっちゃんにアドバイスを求めてたっちゅうわけや。





北「なるほどねぇ…う〜ん…」

由依「あたし、どないしたらええんやろ…?」

北「…横山の将来の夢って歌手だっけ?」

由依「え?うん…それがどうかしたん?」

北「…もうそろそろ、卒業式でしょ?そこでだけど…卒業式ソングを歌って想いを伝えるってのはどう?」





言い忘れてたんやけど、あたしたちはもうすぐ高校を卒業する。



だからこそ、せめてあたしの想いを伝えるぐらいはしたいと思うたんや。



例え振られてまうことになるとしても…





由依「卒業式ソングかぁ…それありかもしれへんな。」

北「じゃあさ、私ピアノ弾くから音楽室で告っちゃおうよ♪曲何にする?」

由依「あぁ、うん…」





あたしは告白する際に歌う曲を決めた。





北「え?それでいいの…?それ、失恋ソングだよね…?」

由依「うん。あたし、あんま上手くいく自信ないねん…それに、あくまで想いを伝えることが目的やからな…軽音部じゃ教わることが多くて迷惑かけること多かったし…きりんさん、他に好きな人いる気がすんねん…」





もう1つ言い忘れてたんやけど、あたし、りっちゃん、きりんさんは3年間、軽音部に所属してたんや。



他にも何人か軽音部に所属しとってた。





せやけど、あたしは軽音のことなんか全然知らへんくて、経験者であるきりんさんから教わることが多かったんや。





迷惑かけとるはずなのに、きりんさんはいつでも優しくあたしに教えてくれた。





それが…



好きへと発展してったんやろな。



今思えば。





北「そっかぁ…でもさ、私から見ればゆきりん、迷惑どころかむしろ喜んで横山に教えてたように見えたんだけどなぁ…」

由依「え…?」

北「簡単に言っちゃえば、ゆきりんは横山に気があるように見えるんだ。」

由依「んなアホな…」

北「まぁとにかくやってみようよ。やってみないと結果は分かんないしさ。」

由依「うん、頼むで、りっちゃん。」





こうしてあたしは、きりんさんにどういう告白をするか決めた。



ちなみにりっちゃんはピアノ得意やで♪








〜ゆきりんside〜





ついに迎えた卒業式。





今年は私たちが卒業するんだなと今さらながら実感が沸いてきた。



卒業式が終わった後、私は音楽室へ向かっていた。





実は昨日…





由依「きりんさん、卒業式が終わった後、音楽室に来てほしいねん。大事なこと話したいんや。」

由紀「いいけど…何で音楽室なの?」

由依「音楽室でしかできひんことあんねん。 」

由紀「…うん、分かった。卒業式の後、音楽室に行くね。」





由依ちゃんに音楽室に来てほしいと言われてたのである。



音楽室でしかできないことって何だろう…?





考え事をしながら歩き、音楽室に着いた。





由紀「おじゃましまーす…由依ちゃん…と、きたりえも?」





中には由依ちゃんとなぜかきたりえもいた。





北「そういや言ってなかったね。うん、私もゆきりん来るの待ってたんだ。」

由紀「そうなんだ…それで、どうしたの?一体…?」

由依「…伝えたいことがあるんや。りっちゃん、ピアノ頼むで。」

北「オッケー。」





由依ちゃんが合図を出し、きたりえがピアノを弾き始めた。





由依「…あなたのために贈ります。『贈る言葉』」





ついに由依ちゃんは歌い始めた。





『海援隊』の『贈る言葉』を。



…あぁ、なるほど。



ピアノ、音楽室にしかないからね。



だから音楽室にしたのね。




由依「暮れなずむ町の 光と影の中 去りゆくあなたへ贈る言葉」





由依ちゃん、何でこの曲を選んだんだろう?



失恋ソングを…





由依「悲しみこらえて 微笑むよりも 涙かれるまで 泣くほうがいい」





思い出すなぁ…





軽音部で過ごした日々。





由依ちゃん、あなたとはここ、音楽室で出会ったのよね。



初めは私がよく教えていたんだっけな、軽音のこと色々。





由依「人は悲しみが 多いほど 人には優しく できるのだから」





今思えば、初めてだったなぁ。



こんなに私のこと頼りにしてくれた人。



ちょっと大変だった時もあるけど、頼られることが嬉しくて私も由依ちゃんと向き合ってたな。



だけどあなたはいつの間にか成長していた。



気がつけば逆に私が支えられていた。





私は軽音部の部長になったんだけど、一時期うまくみんなをまとめられなくて自信を無くしてしまっていた。



だけどあなたはいつでも私のこと励まそうとしてくれてた。





『あたしはきりんさんが部長になってくれたからもっと頑張って期待に応えようと思えたんや。』って言ってくれた時もあった。



気がつけば私は…





由依「さよならだけでは さびしすぎるから 愛するあなたへ 贈る言葉」





あなたの優しさに惹かれていた。





しばらくして、由依ちゃんは歌を歌い終えた。





由依「…あなたに贈りたい言葉があります。あたし、きりんさんのこと好きや。」





由依ちゃんは歌い終え、そこから告白へと繋げていった。





由依「…よかったら、返事を聞かせてください。」





そして、私も由依ちゃんにある言葉を贈ることにした。





由紀「…私も、由依ちゃんに贈りたい言葉があります。」





そのある言葉とは…





由紀「…私も、由依ちゃんのことが好きです。」





そこからさらに、私はこの言葉を贈った。





『私でよければ、これから先もよろしくお願いします。』



と。





〜fin〜

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