あつゆう小説

□旅立ちのとき(あつゆう)
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〜優子side〜





あたし、大島優子は秋葉原高校3年。





あたしには彼女がいて、彼女の名前は前田敦子。



あたしはあっちゃんって呼んでいる。



だけど…





あたしたちは別々の大学に進学し、大学受験の勉強に集中しようとあっちゃんが提案してきて、それを機にあたしたちはすれ違う日々を過ごすことになった…




卒業まで後1週間、あたしはあっちゃんと接することのできない日々にかなりの寂しさを感じ、正直耐えられなくなってきた…



そんな時だった…





陽「…優ちゃん、大丈夫…?元気ないね…やっぱ、あっちゃんのこと…?」





あたしとあっちゃんの友達であるこじぱに話しかけられた。





優「うん…こんなの、勝手だってことは分かってるけど…もう、嫌だよ…!」





寂しさに耐えきれず、あたしは涙を流してしまっていた…





陽「…優ちゃん。」





そんなあたしをこじぱはそっと優しく抱きしめてくれた。





陽「…あっちゃんと話せるようになるまででいいから、陽菜じゃ、だめ、かな…?」

優「え…?」

陽「陽菜が…優ちゃんの寂しさを、忘れさせてあげる…」





その意味が分からないほどあたしは馬鹿じゃない。



だけど…



寂しさに耐えきれず、その日あたしはこじぱと体を重ね合わせてしまった…



もう、限界だった…





それから1週間が経ち、ついに卒業式を迎えた。





卒業式が終わった後、あたしはあっちゃんに呼ばれ、下駄箱まで移動した。



聞きたいことがあるみたいだった。





優「久しぶりだね、あっちゃん。まずは、あたしに聞きたいことって何かな…?」





それからあっちゃんは悲しそうな顔をしながら話し出した。





敦「…あたし、見ちゃったんだ。1週間前、優子がにゃんにゃんと一緒に優子の家の中に入ったとこ…。」

優「え…?」





あたしは驚いてしまった。





あの日、こじぱと一緒にいるところをあっちゃんに目撃されていたことに…





優「そ、それは…」

敦「…別れましょう。」





あたしは何も言えなかった。



まともに言い訳さえも出てこない。





敦「あたしが悪いってことは分かっているの…あたしが…優子に寂しい思いをさせてしまったせいで…でも…あたしは今、優子を許せないよ…」

優「うん…分かってる…」

敦「だけど…あたしのこと嫌いになってしまったから、にゃんにゃんと浮気しちゃったわけじゃないんだよね…?一時の感情ってやつで、あんなことしちゃったんだよね…?」

優「…あたしが本当に好きなのは、今でもあっちゃんだよ。それを示す証拠が、ないのは残念だけどね…」

敦「…信じるよ。あたしの気持ちが変わることがない限り、いつの日か優子のことを許せる時が来るかもしれない。それまで…待っていてくれる…?」





…こうなってくると、あたしたちの関係が終わることは大体想像ついていた。



だけど…





叶うのなら、あっちゃんともう一度やり直したいあたしはこう返事することにした。





優「待ってるよ、その時が来るまでずっと…」

敦「ありがとう…さようなら、優子…」





こうしてあたしたちは高校を卒業し、同時に切ない思い出を作ってしまった…





さようなら…





あっちゃん…








〜あっちゃんside〜





高校を卒業し、それからいくつかの月日が流れ、あたしは大学生として過ごす日々を送っていた。




あたしが通う大学は地元から少し離れた所にあって、あたしは地元から少し離れた所で1人暮らしをしていた。



それからあたしは順風満帆な大学生活を…



って言いたいとこなんだけど…





残念ながらそうでもなかった。



別にいじめられてるってわけではないんだけど…





人見知りをしてしまうあたしは友達を作るのが苦手で、あたしは常に1人だった。



強烈な孤独感に襲われ、とてもが付くくらいつまんない日々を過ごしていた…





こんな時、優子がいれば…





優子ならすぐに色んな人たちと仲良くなれるのにな…





未だに優子のことを忘れられないってことは、あたしは今でも優子のことが好きなんだろうな…





大学生になって半年、あたしは孤独感に耐えきれず、大学を辞め、地元に帰った。





地元に着いて真っ先に思い浮かんだのは優子のことだった。



元気に、してるのかな…?





会いたいよ…!





優子に…!





でも、あたしの勝手な都合で別れを切り出してしまった以上、軽い気持ちで優子に会うことはできない…





あたしが帰って来たことは家族にしか話していない。



優子に言えるわけがない…





やっとの思いで着いたあたしの家。



あたしは早速家の中に入ることにした。



すると…





敦「え…?」





玄関に何にも知らないはずの優子がいた。





優「お帰り、あっちゃん…」

敦「な、何で…!?何で優子が…!?」

優「あっちゃんの両親から聞いたんだ、今日帰ってくるって…あっちゃんに会ってあげてほしいって言われて…初めはあっちゃんに会うのをためらっていたんだけど…やっぱり、あっちゃんともう一度やり直したい気持ちがあって…その…勝手なこと言ってるのは分かっているんだ…ごめん…」





嬉しかった。



今でも優子はあたしのことを待っていてくれたことに。





敦「ありがとう…!」

優「え…?」





あたしは涙しながら優子の胸の中に飛び込んだ。





敦「あたしこそ、ごめん…!優子のこと、ちっとも構おうとしなくて…勝手に別れを切り出して、勝手に大学やめて帰ってきて…本当は、会いたかった…!優子がいない日々を過ごすのが辛かった…!あたし、やっぱ優子と一緒がいい…!」

優「…許して、くれるの…?こじぱと浮気しちゃったこと…?」

敦「うん…むしろ許しをもらわなきゃいけないのはあたしの方だよ。こんな、勝手なあたしでよかったら、もう一度付き合ってくれますか…?」





涙しながら告白したあたしを優子はさらに力強く抱きしめてくれた。





優「あっちゃんに対して怒ったことなんかないよ…!こちらこそ、あたしでよかったら、またよろしくお願いします。」

敦「うん…!」





それから優子は長いことあたしの傍にいてくれた。



あたしのことを抱いてくれた。





優「…こじぱさ、ずっとあっちゃんに謝りたいって言ってたんだ。あたしも一緒に付き合うから、こじぱの所に、行ってあげてほしいんだ。いいかな?」

敦「…うん、行こう♪」





卒業と言ったら別れって言う人はたくさんいるだろうけど、あたしの場合は別れてからのやり直しになりました♪



これからまた、楽しい生活を送ることが出来るようになるはずです♪





〜fin〜

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