キスお題

□喉(のど)
1ページ/1ページ

変声期を迎えたニコの喉仏はいつの間にか隆起している。

私は駄目なのだ。
声変わりをしてからのニコが滅法駄目なのだ。

何が駄目かって、そりゃ昔のニコとは打って変わって別人にしか感じられないのだ。切れ長の綺麗な二重は鋭さを増して、声は完全に男の子の声だ。
そんなニコを見ているとどうしようもなく体が熱くなる、意味もなくニコを見てしまう。
学ランの詰め襟から見える喉仏に、私はどうしようもなく駄目なのだ。

ある日、耐えきれなくなって二人っきりの時にその事を打ち明けた。
自分がニコに対してどうもできない感情を持っていることを。嫌われると思ったし、もう喋ってくれないと覚悟した。

「…名無し、お前さ」
「何よ…、笑うなら笑いなさいよ」
「………お前、誘ってるのか?」

一瞬ニコが何言ってるのか意味がわからなかった次の瞬間、私はうつ伏せに机に倒されて上からニコがのし掛かった。全く追い付かないまま耳元でニコが「名無し、」と囁いた瞬間体がぞくぞくと震え上がる。
「ニコっ…やめっ」
「お前…俺の声が駄目なんだろ?」
「耳元っだっ…めぇ…」
「…俺の喉仏見て、変に感じてたんだろ?」


ぐるりと今度は仰向けにされて、ニコの顔が目の前に見える。男の顔立ち、
学ランの隙間から見える、浮き出た喉仏。

堪らなくなって顔が熱くて仕方無い私に、ニコは
「好きにしろよ」なんて囁くものだから。
いきなりキスなんて出来ない私は顔を浮かしてニコの喉仏に噛みついた。


浮き出た骨に口を付けたら、ニコの喉がごくりと鳴った。
何かが始まる、そんな音だ。






喉:(欲求)
(男になった君に、ただただ欲情してる私なの)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ