キスお題

□耳(みみ)
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「ニコってさ、いつもニコニコしたら良いからニコってアダ名なんでしょ?…何で笑わないの?」

目の前でロボットの部品作りをしているニコに意地悪な質問をしてみた。


ぎろっと左目を私に移すと、
「必要ないだろ、愛想笑いなんて」
そう言ってまた部品に目を戻した。
あーらら、感じ悪っ。




でも、私は知ってるんだよね。
ニコが無愛想の真面目人間でも、
とても正直な反応がすぐ出るってこと。


私は少しにんまりしながら作業台に向かって行くと、ニコの後ろから部品作りを見下ろす。
するとまー迷惑そうな顔をしてニコが振り返った。

「何の用だよ、作業の邪魔だ!!」
「あっ良いから続けて続けて。」

ニコは私を睨み付けながら、またカチャカチャと組み立てを始める。
ニコの背中は私より少し広くて、学ランと襟足の線がキレイだな。学生帽子の横顔から見える揉み上げ、そして耳。
骨が浮いてて形の良いそれは、少しだけ薄桃色に染まっている。


「…ニコってさ、カッコいいよね。」


ガチャン!
大きな金属音が響くと、ニコは眉間の皺をより一層深くして振り返る。

するとどうだろう!!
表情は怖いんだけど、その耳はまっ赤に色を変化させている。


それが堪らなく好きで、私は思わず顔がにやける。

「急に何言い出すんだよ!!ふざけるのもいい加減にしろよ!」
「ごめんごめん!あんまりカッコいいからつい。」
「……っ!!!だから!!」

鋭さを増した目付きとは裏腹に、耳はこれ以上無いくらい真っ赤になってしまっていてそれが本当に可笑しくて笑いが止まらない。
ニコが痺れを切らして私の両腕に掴みかかってきた、両手はニコの顔に引き寄せられて無意識に向かい合う姿勢になる。うわっ大胆!!

「笑うな!!ふざけるな!!」
「じゃあカッコいいは取り消し。」
「…ほら見ろ!やっぱ悪ふざけじゃねーか!」


私はニコの顔の近くにあった右手をそのまま耳に触れさせて、その耳朶から骨のラインをすってなぞる。
すると、ニコは動きを止めて「なっ何すんだよ…」と戸惑いの表情を浮かべた。



ああ、本当に堪らないな。
真っ赤に熟れたニコの耳に唇を当ててちゅっと吸い付くと、ニコの身体は面白いくらいビクッと跳ねた。

「おい、何「ニコ、本当に大好き。」

吐息混じりで囁いた後横目で見たニコの表情は愕然としていて、
返事はさっきより真っ赤になった耳が教えてくれた。
その素直な反応が嬉しくて、もう一度その耳に唇を近づけて愛しく口づけをした。






耳:誘惑
(そのサインは始まりの合図)

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