アイドルのお世話始めました
□心得 その1
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小柄な人だったから、思ってたよりも用意されていたスウェットは大きくなくて。
高級そうな化粧水をこれでもかというぐらいに顔に浸透させてやった。
いつの間にかドライヤーも置いてあったから、髪も乾かす。
お金持ちそうだから、電気代とか気にしないでじっくり乾かしてやった。
でも、洗濯機はまだ止まらない。
どうしよう…。
ここで終わるまで待ってる?
さっきの人の所にいくのも、何だか気まずいし…。
もし彼女が帰ってきてたら最悪だし。
うん、決めた。
ここにいよう。
───コンコンコン
え。
たった今、ここに籠ると決めたのに?
「はい…。」
「終わった?」
「はい…。」
「俺もシャワー浴びたいんだけど、交代してもらってもいいかな。」
そっか。
私だけじゃなく、あの人も川に入ったんだった!
そりゃあ、いつまでもそのままじゃ気持ち悪いよね。
「す、すみませんっ。」
慌ててドアを開けると、ちょっと驚いた顔。
「え…?ホンモノ?」
でもきっと。
その驚いた顔を見た私の方が、驚いた顔をしていたに違いない。
意地悪そうに表情を変えると。
「まぁ、そうね。」
と笑った。
さっきまでは帽子を深く被ってたし、マジマジと顔なんて見てなかったから。
「芸能人、初めて見ました…。」
二宮和也、嵐だ。