禁断のdispareネックレス

□何でもない今も貴重な時間
1ページ/6ページ

 「千鶴、朝だぞ。起きろ。」
日向は千鶴が死ぬまで一緒に住むことにした。大学も休むことにした。あと四日しかないのだ。一秒でも長く、側にいてやりたかった。
"おはよう。お兄さん。……朝の挨拶なんてしたの久しぶり"
「…そっか。……嬉しい?」
布団の上にチョコンと座っている千鶴の目線の高さに合わせて優しく尋ねる。すると千鶴はふにゃんと頬を緩めて日向に抱きついた。とても嬉しそうに頬をすり寄せてくる。そんな千鶴がとても愛おしく感じて強く抱きしめ返した。ふんわりとした柔らかい感触に女を抱いているような錯覚に陥ってしまった。まあ女になんて正直触れたことなどないのだが。
「…千鶴…」
"苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい……"
「わー!ごめん!強く抱きしめすぎた!」
日向が千鶴を解放すると、千鶴は小さな方を大きく揺らして深呼吸した。
「ご…ごめんな…。あ、そうだ。朝ご飯作ってくる。ちゃんと布団畳んでおけよ。」
千鶴がコクコクと頷いて布団を掴む。その様子を見てから日向はキッチンに向かった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ