禁断のdispareネックレス

□もう嫌いになれない
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 「千鶴〜。ちゃんと勉強してたか?」
次の日も日向は千鶴の部屋を訪れた。今日は家庭教師をする日ではないので完全に遊びに来ただけである。
 千鶴はパッと目を輝かせるとトタトタと日向の方へ走り寄ってきた。そして得意げに自由帳を見せてくる。
「早速何か描いたんだな。どれどれ…」日向は硬直してしまった。全てのページにぎっしりと絵が描かれている。しかもその絵が全て昨日見た光景だったのだ。ひどく取り乱している日向…自殺する家政婦…文房具屋さん…他にもいろんな絵があった。
「……。」
っていうか…
「何で一日で全部埋めてんだよ!書き込むところがまたなくなっただろうがっ!」
しかし一番最後のページにか細い字で"お外…行こ?"と書かれているのを見て日向は口をつぐんだ。
「千鶴…まさかそのためだけに全部埋めたのか?莫大な時間がかかっただろ。」
一ページ一ページ丁寧に全部埋めて…普通なら三日徹夜したって間に合わない。
 しかし千鶴は嬉しそうに日向の腕を引っ張ってドアに手をかけようとした。ところが、フラリと倒れてしまった。
「千鶴!」
急いで日向は千鶴を抱き寄せた。疲労からだろうか。よく見ると目の下にクマがある。無茶しやがって…。
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