禁断のdispareネックレス

□人の感情ってそんなもの
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 次の日も家庭教師のバイトをこなすために千鶴の部屋へ行った。本当は顔も見たくなかったがクリスマスまでの我慢だ。
「さ、教科書開いて。」
しかし千鶴は嫌々と首を横に振ってポケットからミニカーを取り出した。そして平然と机の上で走らせる。千鶴がただのそういう生徒であれば日向も苦笑して優しく注意できるのだが今は尺に障ってしょうがない。
 日向は荒々しく千鶴からミニカーを取り上げた。千鶴のか細い指がミニカーの角に引っかかれて血を滲ませる。
 今にも泣き出しそうな顔で千鶴が怪我をした指を咥えた。
「言うことを聞かないからだ。この馬鹿。」
しかし千鶴は紙に何も書き込むことなくただただ日向の顔を見つめついた。
「……何だよ。」
日向がそう言って睨みつけると小さく首を横に振って再び日向を見つめる。その行動にまたイライラしてしまう。
「何とか言えよ!紙に書けよ!伝えたいことがあるんだろ!」
"………"
紙にまでそう書くのでついに日向はキレた。
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