俺にしか見えない
□やるべきこと
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結局夢か現かが常にぼんやりしたまま、学校は始まった。学校に行く夢は見たことがないからこれは現実だ。……と思う。
夏休みの間に情報は伝わっていたらしく、ポッカリと空いた威織の机の周りはどんよりとしていた。まあ…太陽がなければ植物は腐るしかないからな。
「げっ。何この空気。まるで葬式だな。」
「……!威織!」
クラスの人にとてつもなく哀れな目で見られた。急いで黙る。
「おーい、ゆう〜。」
「……。」
「何だよ〜。無視かよ〜。返事しろ!」
返事なんてできるか。確かにお前は俺を呼んでる。話しかけてる。解ってる。だがな、お前は他の人間には見えてないんだよ。うかうか返事なんてしたら俺は精神科直行だ。せめて人気の少ないところでだな……。
「何だ…やっぱり見えてないのか。」
「……!?」
何でそんな…初めて俺の前に現れたみたいな反応するんだよ。威織がふらふらと教室を出たので急いで追いかけた。