俺にしか見えない
□それはまるで花のように
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「はぁ〜…二年生って一番怠い時期だよな…。一年生みたいな新鮮な気持ちもないし三年生みたいに受験でピリピリもしてないし。」
「その分気楽に夏休みを過ごせるじゃないか。一番自由な時期だって担任言ってたぞ。」
学校からの帰り道。内申書を鞄に押し込み言い訳を考える。
「なぁ、ゆう。」
「ん?」
「いや…何か幸せだなって思って。」
大きなわたがしを思わせる雲を遠い目で見つめながら威織は言った。
「空を見てるのが幸せなのか?」
「……いや…何だろう。急に今まで生きてて良かったなって思ったんだ。今までにない…不思議な感じ。」
「ふーん。」
だが…後から思えばそれは威織の死の予感だったのかもしれない。本能的に察して本人の知らないうちに悔いの残らぬ思考へ走っていたのかもしれない。