闇の世界に射し込んだ光

□光は自分で作るもの
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  次の日
 「……っう……」
「司!目が覚めたんだ!良かった…」
「……!?」
司の目が大きく開かれる。それもそのはず。司も俺と同じように鎖で繋がれているのだから。
「……ごめん……」
「何で緋鞠が謝るんだよ。俺は大丈夫だ。ほら、怪我もしてないだろ?」
「……!本当だ……。」
意外…。兄は一体、司をどうするつもりなのだろう?そう言えばカーテンも開いていて太陽の日差しが煌々と差し込んでいる。何年ぶりに太陽を見ただろう?いや、正確に言えば半年も経っていないのだが。
「……緋鞠。」
「何?」
「お兄さんは仕事に行ったのか?」
「うん。」
司はしばらく黙り込んでから意を決したように顔を上げた。
「緋鞠、気をしっかり持てよ。俺がどうなっても絶対に我を忘れるな。」
「……えっ?」
「俺はお前のお仕置きの道具にされる。ゆっくりいたぶって殺されるんだ。」
「何言って…」
「だってそうだろ?俺があのときに殺されなかったのは気を失っていて悲鳴を上げずに死んでしまうから。それじゃあ物足りない。だったら一度目覚めさせて緋鞠の見ている前で血塗れになったこいつを見せつけよう。そう考えたんだ。」
何でそんなに冷静に話せるんだよ。自分が死ぬかもしれないのに…。
「死んだら…死んだら何もかも終わりなんだよ!司はもう何もできなくなるんだよ!?怖くないの!?」
「怖くない。緋鞠の顔を見たら死のうと思ってたから。」
「何で…」
「居場所がなくなったんだよ。両親も首吊らないと借金返せなくなって俺は叔父に引き取られた。でもすごく邪魔者扱いするんだ。学校でも苛められたよ。貧乏神って。」
そして司は俺を見てにっこり笑った。
「……何で…笑えるの……?大変なんでしょ……?」
「笑えなかったよ。緋鞠の前じゃなかったら。」
「えっ…」
「俺にとって緋鞠は太陽みたいな存在だから。」
「!」
太陽は…司の方だ…。いや…太陽よりも明るいものがあるならそれに例えたぐらい。司…大好き。
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