LUCE

□旅立ち
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1度、大きく深呼吸をした。
落ち着け。大丈夫だから。
そう、自分に言い聞かせた。私はゆっくりと手の力を抜き、サングラスを持った。
ドキドキと心臓が速く動く。
大丈夫。
そっと外すと、先程まで茶色がかっていた世界が綺麗な色を帯びた。息を飲む音が聞こえた。




マ「ルカ…出来たじゃねぇか」


そう言って、マスターは私を抱きしめた。


「あ、マスター…わたし…」


始めて、人前でサングラスを外せたよ…?
ポトリとサングラスが私の手から滑り落ちた。


HR「ルカ。」


HIROさんの声が聞こえた。
そちらを見ると、優しい顔で微笑んでるHIROさん。




「HIROさん…」


HIROさんはゆっくりと私に近づくと、頭をポンポンした。


HR「ルカ。見せてくれてありがとう。」


そう言ってまた穏やかに笑った。ジワリと、目頭が熱くなった。


「う…うわぁーん!」


マ「うわっ!お前、鼻水つけんな!」




ガバッとマスターの胸に顔を埋める。マスターは少し引いたけど、それでも私を優しく抱きしめてくれた。



『バケモノー!』


そう言ってた声がドンドン小さくなる。


『ルカ。お前の目、綺麗だな。』

『おやおや!ルカちゃんは婆さんとおんなじ目をしとるのぉ。わしの好きな色だ。』



あぁ。
懐かしい思い出だ。昔かけられた暖かい言葉が、私の頭に次々と浮かび上がってきた。






嫌われてるだけじゃない。
私の眼のことを、好きって言ってくれる人がいるじゃない。綺麗って言ってくれる人がいるじゃない。
サングラスを外した私は、


嫌われ者じゃない。
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