LUCE
□旅立ち
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荷造りが終わって、部屋に戻って来た時。なんだが雰囲気が変わっていて少し動揺した。
マスターがHIROさんに私の眼について話したって聞いた時は、目眩がした。
でも、もう逃げられない。
自分で決めた事なんだから。
いつかは、向き合わないといけないって分かってた。
その時が来ただけのこと。
マスターは、私の心のキズを治そうと頑張ってくれたけど、これは私の心の問題。
私が自分で乗り越えなきゃいけない事だ。
マ「ルカ。サングラス、とってくれ。」
「えっ、」
マ「サングラスだよ。HIROにも話したし、お前も見せることに慣れないと。」
急にマスターが言った。私は頭が痛くなって。とっさにサングラスを押さえた。
「マ、マスター!私、無理だよ」
マ「ルカ!HIROは信頼できるだろ?それに、俺はお前を守れなくなる。これからは自分で守らないといけない」
だから、外せ。と言われた。ドキンドキンと、私の心臓が忙しなく動く。サングラスを押さえている手が震えた。
そうだよね。HIROさんは知ってる。それに信頼もできる。差別はしない、優しい人だって。
わかってる。
でも…
『お前、バケモノみたいな目してる!』
『気持ちわりー!』
『お前、目が怖いから一緒に遊んでやんねー!あっち行けよ、バケモノ!』
昔の記憶が蘇る。
「マ、マスター…」
マスターに手を伸ばす。でも、その手は虚しく宙を掴んだ。
HR「ルカ…」
HIROさんが私の名前を呼んだ。そちらを向くと、強い瞳で見つめられていた。
マ「ルカ。大丈夫だ。」
マスターがそう言った。
そうだ。ここに私をイジメる人はいない。
HIROさんになら…見せられるでしょ?