LUCE

□スカウト
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「優勝おめでとう。ライトさん」



目の前に座る男の人。
人当たりの良さそうな笑顔だ。
先程までニックといたロビーに、今は私と見知らぬ男の人が2人っきり。



ん?これって、危ない状況なのかな?



「あ、ありがとうございます?」

「なんで疑問形なんだよ」



あははッと笑う男の人。
悪い人には見えないけど…
警戒はしてた方がいいよね?



「あの、あなたは…?」

「あ、ごめんごめん!挨拶が遅れたな。」




ハッとして、男の人は姿勢を正した。



「俺はHIROって言うんだ。LDHの社長をしている。」



そう言って、スッと名刺を差し出してきた。
それを受け取り、見てみる。



「LDH…?」



なんか、聞いたことあるような…ないような…
それに、HIROと名乗ったこの人。
何処かで見たことあるような…ないような…




わかんないや。




「実は、今日はライトさんに大切な話があって日本から来たんだ」

「あ、わざわざすみません。」

「いや、このぐらいどうってことない。」



それより…と、HIROさんは身を乗り出した。



「実は、ライトさんにLDHに入ってー「ルカ!」


「ん?」



HIROさんが何か言おうとしていた時、廊下の奥から早歩きで現れたマスター。




「あ、マスター」

「水瀬真…」



HIROさんがボソッとつぶやいた。
ん?なんでマスターのフルネーム知ってるの?
そんな事を思っていると、直ぐ近くまで来たマスター。




「ルカ。こんなとこにいたのか。早く楽屋に帰るぞ」



そう言ってマスターは私の腕をグイッと掴んだ。




「チョッ、マスター!?痛い!」

マ「あ、すまん」



なんなんだ、とマスターを見ると、マスターはHIROさんを見ていた。



「水瀬さん、」

「社長さんよぉ。ルカに話がある時は、俺を通してくれません?」



俺、こう見えて保護者なんですよ、と言うマスター。
知り合いなんだ。
あれ、なんかマスター。不機嫌?
でいうか、HIROさんに失礼だな。




「それじゃ。ほら、ルカ行くぞ」



そういうと、マスターはまた私の腕を掴んだ。
次は優しく。ってそうじゃなくて!




「ちょっと、マスター!私、HIROさんとお話してるの!楽屋に戻るなら、HIROさんも一緒に!」


「はぁ!?」


精一杯片眉をあげたマスター。
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