LUCE

□世界大会
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アメリカ、ニューヨーク



ここに来るのは久しぶり。
懐かしいな。
にしても、アメリカの冬は寒い。
私はマスターから買ってもらったココアを飲みながら、今日開かれるダンス大会の会場を視察していた。



うーん。
やっぱり日本のココアの方が甘くて美味しいな。



「おいルカ!」


「あ、マスター!」



先程まで何処かに行ってたマスターが帰ってきた。
相変わらず暖かそうにマフラーをぐるぐる巻いてサングラスをしていた。
ちなみに、このマフラーはマスターの恋人、愛さんの手作りだとか…


熱いなぁ。ちきしょう。





「何処に行ってたの?」


「ん?あ〜…ちょっとね」




何か隠してるな。
言っちゃなんだけど、マスターも隠し事は下手なタイプ。
でもまぁ、隠したい事なら無理に聞くこともないか。



「ルカ、視察は終わったのか?」

「うん。もう完璧だよ。」

「そっか。なら控え室戻ろうぜ」




そう言ってマスターは控え室に歩いて行った。


ライト とかかれた部屋。


結構大き目な楽屋で、今日出場するダンサー1人ひとりに割り当てられてる。
その中にあるソファにマスターはドッカリと座った。



「あー。いい座り心地だわ」

「ちょっとマスター!邪魔だよ」



長い足を投げ出して座るマスター。
身長が大きいだけあって邪魔い邪魔い!



「そういや、お前の名前。
ライトって書いてあったけど、なんでライトなの?」


「あれ?マスター知らなかったっけ?」



知らねぇー。とマスターが言う。



「あのライブハウスにいた時に、ライトって呼ばれてたの。
それから結構愛着が湧いちゃって。
別に本名じゃなくても言いって言われたから、ライトにしたのよ」



そっちの方が名前的に知られているしね。
そう言うとマスターは興味なさそうに ふーん。 とだけ言って置いてあった雑誌に手を伸ばした。



興味ないなら聞くなよ。
マスターって適当だもんなぁ。
そんな事を思いながら大きな鏡の前に行く。
付けてたマスクとニット帽を外して、サングラスに手をかけた。




「あ?ルカ。サングラス外してやんの?」



サングラスを外そうとした手が止まる。



「いや、つけるよ?私のトレードマークだもん。」



そう言ってサングラスを外した。
このサングラスは、人前に出る時は必ず付けてる物。
私はサングラスを外した顔が嫌い。
いや、顔じゃないな。
瞳が大っ嫌いだから。
だから人前では絶対にサングラスを外さない。
まぁ、マスターは例外だけど。



「もったいねーなぁ。」

「なに?」



ソファでグータラしてたマスターが、此方を見て呟いた。



「サングラスだよ。
お前、折角綺麗な顔してんのにサングラスで隠すとかマジ宝の持ち腐れ。」


「おじさんキモい。」


「おいバカ!ドライヤー投げんな」



近くに置いてあったドライヤーを投げつけてやる。



この変態オヤジ!
恥ずかしいことをサラッと言いやがって…



「でもマジで。俺、お前の瞳好きだぜ。」

「だからキモいって!」

「お、おい!それは投げんなよ!?」



手に持っていたのは化粧台に置かれていたランプ。
マスターは慌てて両手を降っていた。
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