LUCE

□衝撃
3ページ/3ページ



圧巻だった。
ライトのダンスが終わっても、その興奮の熱は冷めなかった。
ライブハウスはまだ熱気に溢れ客は口々に ライト と発している。




KJ「ちょーヤバかったですね!
マジすげェ!見ましたか?あのターン!
あんなの神技っすよ!」



啓司が興奮したように目を輝かせていた。



US「マジやばかったな!俺、まだ鳥肌立ってるよ」



うっさんが腕をさすりながら言った。
そうだな。本当に凄かった。
俺も手が震えてる。
ライトは踊り終わると少しだけ千と話した後直ぐに店を出て行った。
声をかけようと思ったが、上手く足が動かなかった。



US「HIROさん。
俺、ライトをLDHに入れたいです。」



うっさんが俺を見て言った。
その目は真剣だ。



KJ「俺もです!
ライトが入ればもっと良いチームが出来る!」



啓司は頬を赤くしながら言った。



HR「あぁ。俺も同じ事を考えてた。」



ライトをLDHに入れたい。
あいつならやっていける。
あいつは原石だ。
俺は先程までライトと話していた千の元へ行った。



「お!どうだった?ライトのパフォーマンス。」



千は楽しそうに聞いてきた。



HR「凄いな。あんなに若いのに。」

「ライトはまだ16歳だからな。」

KJ「16歳!?マジかよ!」

「4年前にここに来て、踊り始めたんだ。
あん時から凄かった。」



千は懐かしそうに目を細めた。
その目の端には微かに涙が溜まっていて。



KJ「でもライト。今日でここをやめるって聞いたぜ?」

「あぁ。そうだ。ライトはもうここには来ねェよ。」

US「何でだ?」



うっさんがそう言うと、千はフッと口角をあげた。



「お前達、ライトにハマったな。」



だろ?と聞いてくる千に頷く。



「あいつにハマると厄介だぜ。抜け出せなくなる」




そう言って、千は持っていた酒をグイッと飲んだ。



「ライトを芸能界デビューさせるのか?」

HR「あぁ。出来ればしたい。」

「そうか。それには俺も賛成だ。
あいつはもっともっと輝ける。」




そう言うと、千は少し切なそうな顔をした。



「ライトはアメリカに行ったよ」

KJ「アメリカ!?」

「あぁ。ダンスの世界大会に出るんだと。」




千は目の端に溜まった涙を拭った。



「追いかけるかどうかはお前次第。
ただな、優勝すればきっとライトは日本には帰ってこないぜ、HIROさん。」



それだけ言うと、千はじゃあな と手を上げ何処かに行ってしまった。



KJ「HIROさん。どうしますか」



啓司が眉を寄せて俺を見る。



HR 「うっさん。世界大会の事知ってたか?」


US「はい。確か2日後にニューヨークでありますよ。
2年に1度の世界大会。」



そうか、よし。



KJ「HIROさん?」

HR「大丈夫だ。
特別大きな仕事も入ってない。
みすみすあんな原石を逃せねェだろ。」



二ッと笑うと、うっさんもつられて笑った。



KJ「よっしゃー!」



啓司は嬉しそうに拳を掲げ叫んでいる。





ライト。
覚悟しとけよ。
探し出して絶対LDHに入れてやる。
あのパフォーマンスで、日本全国を魅了させるすげェ奴に育ててやるからな!






それから2日後、俺はアメリカへ渡った。
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ