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□急変
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何故だろうか、
千聡は家族じゃないはずだが、
両親とソファーに座っていても何ら、
違和感もない。

こんな平然と別の家の人物が、家族のように接してくる
イレギュラー(自分の中で)な家にきてくれる、
彼女なんて、俺は見つけ出せるのだろうか。


「ハヤト、大事な話があるんだ。」

父親が表情をマジメにして言った。
ハヤトは頷き聞く体勢に入る。

「お父さんの、勤務先が変わったんだ。
 ここからでは通勤できない、海外になってしまった。
お前には、せっかくの高校生活を楽しんでもらいたい。
だから、千聡くんのご両親にもお話をして二人でこの家に一緒に暮らしてもらうことになった。

大丈夫、お父さんにはお母さんがついてるから。
毎日でなくても、連絡するよ。」


大丈夫の意味が違う。
と言いたいが、父親は至極安心しきっている。
千聡に預けるというのは、いままでにも何度かあった。
別段、今までの小学生程度のときならば驚かずにむしろ、兄ができるといって喜んだかもしれないが・・・
今は違う。


「わたってくれるね?」


トドメだ。
もう、この一言が出たらハヤトは頷くしかできない。


「ハヤトくんはまだ高校生だから、
お母さんたち心配なのよ。
日頃からお世話になっていて、親同士も知り合いだし、ハヤトくんと仲のいい千聡くんになら安心できるの。」


安心というか、
貞操の危機を感じる。


「わかりました。
 ハヤト君の高校生活をこれからも支えさせていただきます。
これから、よろしくねハヤト。」


支えさせていただきますって言葉がどうしても、結婚を申し込むプロポーズのセリフにしか聞こえないのは何故だろうか。
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