短編
□いや、違う。
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ホンマに名前はかわええ。
何しててもかわええわ。
ほら、石につまづいたわ。
キョロキョロして、誰も見てへんか確かめとるわ。
「ああ、わかった。名前は可愛い。だが、侑士はキメェ」
「岳人はええなぁ。名前と幼馴染なんやろ?」
「俺だけじゃねぇけどな」
「あぁ、宍戸とジローもそうやったか」
「まぁ、名前に手ェ出したら、俺達からの制裁があるからな」
「安心しといてぇな、名前は絶対俺のこと好きやからな」
「は?」
「どない考えてもそうやろ?
目ぇが合う度に恥ずかしそに逸らすんやで?」
「いや、お前の顔見た瞬間いつも舌打ちしてるじゃん」
「それにな〜、この間跡部と話しとったらな〜、顔赤くして俺の方見とったんよ〜」
「それ名前が跡部のこと...」
「まだあるんやでがっくん!前に名前の太もも見て、ええな〜って呟いたら、照れながら見ないでってごっつう小さい声で言ったんやで〜。
あの照れとる名前ほんまに可愛かったわ〜」
「それ普通に見んなよボケ的な意味だと思うんだが」
「がっくん!大変や!名前がなんかクッキー持っとるで」
「あ〜、赤いリボンのやつか」
「あれ、絶対俺にくれるやろ」
「絶対違うだろ」
「あ、跡部に話しかけよったで」
「やっぱりな〜」
「あぁ!!!跡部に渡したやと!なんでや」
「だから名前は跡部のことが!」
「ハッ、まさか俺のために手作りのクッキー作ろうとしたけど失敗して、俺にあげれなかったってことやな!」
「いや、どう見てもガッツリラッピングしてあるじゃん」
「名前ごっつうええ子やな〜、俺は失敗したやつでもええんやで〜」
「こいつもうダメだわ」
いや、違う。
侑士が名前と跡部が付き合い始めたという報告を聞いて発狂するのは、また別のお話。