短編

□日に日に重症になっていく
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『こんなに好きなのにな...』


教室で、手塚のクリアファイルを握り締めて呟く私。


「また手塚くん?」


『カッコ良いよね...』


「はぁ、叶わない恋してないで、そろそろ彼氏でも作ったら?アンタモテるんだからさ」


『でも、私には国光がいるし』


「いくらアンタが、手塚くんのこと好きでも、手塚くんはアンタのこと知らないんだよ?」


一番言われたくないことを言われる。


『わかってる。でも、それでも好きなんだもん。麗華にはわかんないよ』


「はいはい、どうせ私にはわかりませんよ」


呆れたように、麗花は教室を出て行く。
麗華が出て行ったのを見てから、私は机に伏せる。


『そんなこと、私が一番わかってるよ...』


テニスの王子様知ってから、どれほどの時間が流れたんだろう。
初めて知った時は、テニスしてる人を見て、何が楽しいんだ。
絶対好きにならないって思っていたのに。
気付いたら、好きになっていた。
君を、本気で好きになってしまった。


『ハハ、馬鹿だなぁ、私...』


絶対に叶わないってわかってるのに、
もう後戻りできないくらいに好きになってる私がいる。


『もう私、大学生になるんだよね..』


君を好きになった時は、君の方が年上だったのに、今はもう私の方が年上だなんて。
いつか、私が結婚してお母さんになって、君への恋愛感情が、自分の子供に向ける感情と同じになったら、
おばあちゃんになって、孫に向ける感情と同じになったら...。


『そんなのやだ』


時間が無いんだよ。私はどんどん年をとっていく。
君と同じ空気を吸えて、君と同じ大地を踏んで、君と同じ空を見上げて、君と同じ時を歩めるなら、
君に名前を呼んでもらえるなら、名前って呼んでもらえるなら、
君の世界に行けるなら、トラックに轢かれてぐちゃぐちゃになっても、
ビルの屋上から飛び下りてでも行くよ。どんなことだってする。
たとえ、99.99%の確率で無理でも、残りの0.01%の確率があるなら、私はそれに賭けるよ。


『それほど、君のことが好きだ』


自分の口元が歪んだ弧を描いているのに気付く。
私がこんなに歪んていったのは、何時からだったっけ?


そうだ、君を知ったその日からだ。


日に日に重症になっていく


どうしてこうなった\(^o^)/

 

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