短編

□跳ぶ理由
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会話オンリー


『がっくんってちっちゃいよね』


「喧嘩売ってんのか?」


『違うよ、ただ可愛いなぁって』


「全然嬉しくねぇし」


『ねぇ』


「何だ?」


『何で、岳人は跳ぶの?』


「え?」


『何で、岳人はそんなにぴょんぴょん跳ぶの?』


「な、何だよ急に」


『ねえ何で?』


「...俺、背低いじゃん」


『うん』


「だからさ、皆の見てる景色が見えないんだ」


『うん』


「跡部も侑士も宍戸も日吉も鳳も樺地も滝も、皆背が高いじゃん。ジローは別だけど」


『うん、それで?』


「皆の見てる景色が見たいんだ」


『うん』


「跳んだら、いつも見えない景色が、少しでも見えるから」


『そっか。でもさ、岳人には、岳人だけの景色があるんじゃないかな』


「え?」


『岳人と同じように、皆、岳人の見ている景色が見えないよ。
岳人には、岳人だけの景色があるじゃん』


「ああ」

『だから、岳人はもっと、自分だけの景色を楽しんで見たら?
皆の景色を見るのは、自分の景色に飽きた時でいいじゃん』


「そっか、そうだよな」


『うん。背がちっちゃい方がたくさんの景色が見えるんだよ』


「ちっちゃいって言うな!」


『背ちっちゃいのに、ぴょんぴょん跳ばれると邪魔なんだよね』


「お前、本心はそれか」


『てへ☆』


「可愛くねぇし」


『がっくん大好き!』


「くそくそ、大好きって言えば何でも怒られずにすむと思うなよ!」


(俺の方が大好きだしばーか)



跳ぶ理由



 

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