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□Inheritance
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ウォール・シーナ内、王都中心街の一角にそびえ立つ兵団施設。一帯が高い塀に囲まれ、その中に天を貫くように高く荘厳な建造物があった。
その兵団施設の中で、部屋の扉の前で何かを待つ青年がいた。
深みのある色合いに染め上げられた椅子に整然と座る青年。
艶やかなブロンドの髪に深みのある青い瞳が特徴的で、とても整った顔立ちであった。一見すると女性のようにも見えるが、骨格から男であることが分かる。
目の前に並ぶ大きな窓から、切り取られた空が映る。壁内にあるどの湖畔よりも美しい青だ。
時折、空を横切る鳥は何者にも縛られることなく、自由に空を遊泳していた。
青年は空を見つめ、自由な鳥たちを目で追った。
がちゃりとノブを回す音がして、乾いた扉を開く音が廊下に響いた。
中から兵装の背の高い男が顔を出した。
「レヴィット・アールトネン、入りたまえ。」
「はい。」