shortstory

□クッキーをつくろう
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ある日、特にすることもなく寮を歩いていた。
すると、キッチンから物音が聞こえた。
今日は祝日だから、料理長はいないはず…

キッチンを覗くと、エプロンをつけた奈子がいた


「なにしてんの?」

「あ、みーちゃん!!!」


ボールを抱え、こちらを振り向く奈子。

「今、ろん様の命令でクッキー作らされてんの」

「へぇ〜…」

「みーちゃんはなにてるの?」

「暇だったからぶらぶら歩いてた」

「そっか!じゃぁ一緒に作る?√5の皆にわけてあげるとか!」

「……俺、料理は壊滅的だよ」

「料理じゃないよ!お菓子づくり!」

「(……なにが違うんだろ)」

「やってみないとわからないよ!ねっ!一緒にやろ!」

「うん、そうだね!」


そして、俺と奈子でお菓子づくりが始まった


「今作るのはね、絞り出しクッキーだよ!生クリームとかを絞り出す袋にクッキーの生地を入れて絞るだけ!」

「(むずそうだな…)」


奈子の指示に従い、生地を作っていく。
って言っても、材料入れて混ぜるだけだけど

「みーちゃん全然下手じゃないじゃん!」

「箔れて混ぜるだけじゃん!」


「なにやってんの?」

キッチンに顔を覗かせたのは蛇足だった

「だーそっく!今クッキー作ってるんだよ!」

「へー!俺にもちょーだい」

「へへへ、蛇足のはみーちゃんが作ってるよ!」

「え〜、奈子のが食べたい」

「私はろん様に献上しなければならないので…あしからず」

「じゃぁまた今度作ってよ」



ちょっと待ってよ、なに良い雰囲気つくってんの!?


「もちろん良…「だめ!」…みーちゃん?」


思わず口走ってしまった。
奈子は疑問符を浮かべ、蛇足は笑いを堪えていた


「そんなに食べたいんなら自分で作ればいいだろ!」

「そうだね!蛇足も一緒に作ろ!」


狽サうじゃねぇぇぇぇ!!!
なにこの子!!!
馬鹿すぎない!?
察してくれてもよくない!?

自分の一言が裏目にでて落ち込む。
蛇足は笑いを耐えて、平然を装い言った


「残念だけど、誰かさんは俺が邪魔みたいだからまた今度にするよ」

「誰かさんって?みーちゃん?やだなぁ蛇足!みーちゃんがそんなこと思う訳ないじゃん!」


ごめん、奈子
思ってしまったよ


「じゃぁね、奈子」

「うん!ばいばーい!」


鼻歌を歌いながらできた生地を袋に入れて絞り出す奈子。
「よし、私のはOk!はいみーちゃん!」

「え?」

奈子は俺の目の前に生地を出してきた。
俺が疑問符を浮かべると、奈子は眉を下げた

「え?じゃないよ!みーちゃんも絞りなよ!」

「い、いいよ!失敗しそうだし」

「ダメだよみーちゃん!何事も経験だよ!」

「……わかった」

奈子から生地を受け取り、鉄板の上に絞り出す。
奈子のを見様見真似でやってみる

「みーちゃん上手い上手い!」

奈子はお世辞上手だ
絶対上手くない!
どう考えても丸形が歪だ

「奈子、無理して褒めなくていいんだよ?」

「無理じゃないよ!綺麗なハート型じゃん!」

「………」

「じゃぁ、やくよー」


うん、奈子は嘘をつかない奴だ



クッキーを焼き終え、奈子にお礼を言い、√5を集めた。
今日あったことを話すと、笑い声が止まらなかった



END
 

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