政宗×幸村

□愛しさ故の争い
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「はい、伊達の旦那」
「…Thank you」
「どういたしまして〜」

怒っているのを知ってか知らずか、佐助は軽やかな口調で笑顔だ。
またそれが何ともイラつかせる。
佐助が去った後もこの胸のイライラは消えてくれない。

「それでですね…政宗殿、聞いておられますか?」
「Ah?……ああ」
「それでですね、佐助の奴仮面を被っていたのです。だから、佐助だとは気づかず…」

つい最近あったことを楽しそうに喋る幸村。
話の中に出てくるのは佐助と武田信玄ただ二人。

「そしたら次は佐助はそれがしに化けて…」

延々続く佐助話。
ところどころ信玄も出てくるが、佐助の名前に反応してしまう。
いつものお館さまよりも、今日は佐助の方が話に出てくるのが多い。
そりゃ、いつも側にいるから話題の中心が佐助や信玄になるのも分かるが。
そうだとしても話過ぎだ。
俺といるのにそんな話ばっかりするな。
他の男の話なんか。

「それでですね、佐助が…」
「Ah〜!!うるせぇ!!」

遂に政宗が切れてしまった。

「………な、何がですか?」
「さっきから聞いてりゃ佐助、佐助、佐助!」

一度口から出てしまえばもう止まらない。
政宗は捲くし立てるように言葉を吐き出した。

「だいたいお前佐助に頼り過ぎなんだよ!一人で茶ぐらい煎れろ!」
「さ、佐助のが美味しいのだから仕方がないではありませぬか!」

訳も分からずいきなり怒鳴られて幸村も不機嫌になったのか、
政宗に負けないように声を張り上げる。
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