元親×元就

□魂
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「…我は、男だったのだな」
「え?…あ、ああ、そうだな」

自分は現世も前世も男だったが、元就は現世は女で前世は男。
少し驚いたが、今の元就が男でもあまり驚きはしないだろう。
何せ、そこらの男よりずっと頭が良く、自分をしっかりもっている頭首タイプなのだから。

「…元親」
「ん?」
「前世のお前は…男の我を好きになったのだな」

元就の言葉から、元就が何を言いたいのか分かってしまった。
こういうところを気にするのは、女の子らしい。

「別に男の元就が好きなわけじゃねぇぞ」
「………しかし、前世のお前は」
「昔は昔、今は今」

元就に近づくと額をすっと撫でる。

「女だからって嫌いになるわけねぇだろうが」
「そう、なのか?」
「ああ。それに、前世のお前が女でも、今のお前が男でも、俺は好きになる」

体を折り曲げ、触れていた額に口付ける。
それから、コツッと額を合わせる。

「俺はお前だから、好きなんだ。毛利元就…お前の魂が好きなんだ」

惹かれあうのは見た目でも性別でもない。
心と心。
魂が欲しているのだ。
元就という存在を。
すると元就が体を捩ってそっぽを向いてしまった。
恥ずかしいらしい。
耳が赤い。

「…その言葉に嘘はないか?」
「ああ、ねぇよ」
「…分かった」

きっとこの先何回生まれ変わっても。
この男だけはずっと側にいてくれる
口には言わなかったが、元就の表情はとても嬉しそうだった。





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