元親×元就

□一万回の愛の言葉
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「元就…好きだ」

耳元に唇を寄せられ囁かれたのは愛の言葉。
顔に血が集まるのが分かる。
きっと自分の顔は真っ赤に違いない。
本当にどうしたらいいものか…。
甘えれば元親の思う壺だし、かといって素っ気無くするのも何となく嫌だった。
無言の元就に構わず元親は告白を止めない。

「好きだ、好き……大好きだ」
「も、もう……よい。何度も言わなくても分かっておる」

いったい今まで元親に何回好きだ、愛してるだの言われただろうか。
きっと千は軽く越えている。
何かあったらすぐ好きだなんて言ってくるのだから。
嬉しい反面恥ずかしくて仕方が無い。
慣れていないのだ。
恋愛経験のない自分に元親の告白はある意味毒だ。

「何度でも言いたいんだよ。何回言っても足りねぇ…」

耳に響く、低くも甘い欲情を孕んだ声。
普段とは違う声色に、体が無意識に震える。
いつもはここで黙ってしまい、流されてしまう。
それじゃ駄目だ。
何だか不公平だ。
元就は覚悟を決めて元親の方に顔を向けた。

「我とて……貴様のことを好いておるぞ」
「………え?」
「え?とは何だ!え?とは!!」

人がせっかく言ってやったのに。
所詮は元親の好きなんて軽いものなんだろうか。
元就はふてくされてまたそっぽを向いてしまった。
すると、元親が先程よりも強い力で抱きついてきた。

「悪ぃ…お前が好きって言ってくれるって思ってなくてよ」

よく見れば元親の耳が赤い。
滅多に赤くなることなどない元親が照れている。
その事実だけで元就の顔はさらに赤みを増す。
言いようのない甘い空気で部屋が満たされている。
いたたまれない。
それ以上に嬉しくて。
何も言い出せない。
暫くの間の後、先に口を開いたのは元親だった。

「愛してる」
「……我も、愛している」

二人の目が合い、静かに顔が近づき。
唇が重ねられた。

一万回でも言うよ。
君の為に。
愛の言葉を君に捧ぐ。




 
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