元親×元就

□弱みを僕へ
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またか。
元就の強情。
まあこれはいつものことだ。
何でも完璧で一人でこなす元就。
冷たく、怖れる人間もいるが、殆どがその実力を認めている。
女でも男と変わらぬ仕事っぷりと学力を持ち合わせている。
元就は男より劣るのを何より嫌っている。
だから、力仕事も自分ひとりで片付けようとする。
それが間違いだといつになったら気づくのか。

「力仕事くらい頼めよ。女なんだから」
「女だからなどと言うな!!」

やはり元就はその言葉に食いついてきた。

「別に悪い意味じゃねぇよ。ただな…」

元親は元就の手を掴むとギュと握った。
本気で力を入れれば折れてしまいそうなくらい細い。

「痛ッ…」
「男と女じゃ根本的に筋肉の付が違うんだよ。それは差別とかじゃなくてしょうがねぇことなんだ。
いくらお前が出来るって言っても限界があるんだよ」
「そんなこと…分かっている」

元就だって本当は分かっている。
分かっているけど認めたくない。
悔しいのだ。
以前、男と比べられて蔑まれたことがあった。
それが元就の心を今も侵食している。

「分かってるなら今度から無茶するな。いいな?」

それでも、正論だと元就も分かっているから、静かに首を縦に振った。
本当に、可愛い。
額に唇を寄せ、腕の中に収める。

「もっと、俺を頼ってくれ。無茶しないでくれ。心配すっからよ」
「…うむ」

本当に。
お前が強いのは知っている。
けど、お前が弱いのも知っている。

「約束な。無茶しないって」
「…分かった」
「俺にだけ…甘えろよ」

周りの奴らに弱みを見せるのが嫌なら、俺にだけ見せてくれ。
俺にだけ……甘えてくれ。




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