元親×元就

□幸せの日々
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「も、元親!」
「元就ーv」

元就は元親が甘えてくるとき本当にこれは長曾我部元親なのかと思ってしまう。
戦場で見る元親はまさに鬼そのもの。
それなのに普段はこれだ。
気が抜けてしょうがないが、これが元親という男なのだろう。
首に廻された腕を握る。

「…怪我は?」
「ない」
「そうか…」

しょっちゅう戦に出るものの、怪我を負ってくる回数は格段に減っている。
やはり、もう豊臣の軍に力はないようだ。
元親が無事に帰ってくるとホッと安心する。
嬉しくなる。

「いいよな、こういうの」
「こういうのとは?」
「のんびり出来るってことがだよ」

確かにそうだ。
今までは気づかなかったが、これが平和というものなのだろう。
少なくとも元就は平和を感じている。
戦もなく、執務に追われる日々もまたよいものだ。

「…全部片付いたら海に出ようぜ」
「出てどうする?」
「あ〜、結婚式でもするか」
「なっ…!!」

本気なのか冗談なのか。
口調と表情では分からない。
どっちにしたって元就の頬は真っ赤だ。

「せ、せぬぞ、結婚など!!」
「しねぇの?」
「当たり前だ!!何処の誰が堂々と男同士で結婚式をあげる!!」
「んじゃ、俺達が初めてってことでいいじゃねぇか」

ずるい。
笑顔を向けられれば元就は何も言えなくなる。

「…考えておく」
「前向きに頼むぜ」

肩に温かさと重さを感じながら元就は目を閉じた。
もうすぐ来る平和な世。
もうすぐ来る幸せな日々。


日輪よ、我は今日も…幸せです。




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