元親×元就
□永久に
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元親はふと、床に転がった紙玉を見つけた。
「あのぐしゃぐしゃの紙は?」
「…筆を上手く使えぬ手が産み出した哀れな結果だ」
抱き締められているせいで篭った不機嫌な声。
相当苦労したようだ。
「大変だな」
「まあな……しかし、温かいな」
「そうか?」
火鉢なんかとは比べものにならない温かさ。
人とはこんなにも温かいものなのか。
「心地よい」
「だったら毎年この季節になったら俺が温めに此処に来てやるよ」
「……まるで冬の間しか側に居てくれぬような言い方だな」
元就は上目で元親を見つめ、不満そうな表情を浮かべた。
「常に我の側に居れ。離れるなど許さぬぞ」
元親としては高圧的だが珍しく素直な元就にちょっと呆気に取られたが、直ぐに笑みを返した。
「ああ。冬だけじゃねぇ。春も夏も秋も……ずっとずっと側に居る。離れたりしねぇよ」
「……ならよい」
元就は静かに瞼を閉じた。
数分もたたないうちに元就は寝息を立て始めた。
その可愛らしい寝顔の額に口付けを落として、慈しむように抱き締めた。
未来永劫君の側にいることを約束しよう
終
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