元親×元就

□幼いあの子
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フォークと皿を持って部屋に戻れば元就が箱の中身をジッと見つめている。
同じようにケーキの入った箱を覗けば美味しそうなショートケーキとチョコレートケーキが入っている。
プロ顔負けの腕前だ。

「元就、どっちがいい?」
「え〜っと…ん〜…」

元就は二つを見比べて真剣に悩んでいた。
甘いものが大好きなので両方ほしいようだ。
そんな様子を見ていた元親は元就の頭を撫でた。

「半分こするか?」
「うん!」

可愛すぎる。
元親はケーキを半分にしながら悶えていた。
純真無垢な元就。
本当は学校なんかサボってずっと元就と一緒に居たいのだが、まあ元就も学校があるし無理な話なのだが。
ケーキを食べて頬を緩める元就。

「美味しいか?」
「うむ」
「だよな、元就の母さんが作ったんだもんな」
「母上が作るものは何でも美味しいぞ。ちかの母上が作るものも美味しい」

ふと、元就の頬にクリームがついているのが目に止まった。
あ〜…どうすっか。
何て考えたが本能の赴くまま。
元就の頭を片手で優しく抱いて顔を近づけ、クリームを舐め取った。

「ん?」
「クリームついてたぞ」
「ありがと、ちか」

素直にお礼を言う元就。
ちょっと罪悪感が沸かないでもないが、笑顔を見れればそれでよかった。

「本当は唇がいいんだけどな…」
「くち?」
「いや、何でも…」

ねぇよ、が言えなかった。
元就が元親の唇の端を舐めたのだ。

「ちかの口にもクリームがついていたぞ」

トドメの言葉と笑顔。

「俺…自分を抑えられんのか?」

自問自答せずにはいられない元親だった。



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