小十郎×佐助
□舞い降りた運命 *
1ページ/13ページ
「ふ〜、いい買い物した」
ルンルン気分で鼻歌交じりに歩くと、それに呼応するように揺れる茜の髪。
手に提げたエコバッグに入っているのは新鮮な野菜や果物ばかり。
「市場ってやっぱいいよね〜。安く手に入るし」
近くにスーパーがあるのだが、あそこでは値段交渉は出来ない。
いかに良い物を安く手に入れるかをモットーにしているこの女性。
Tシャツジーパンとボーイッシュな格好だが、マジマジ見ずともそこら辺の女性に負けない程の美しさを持っていることが分かる。
彼女の名前は猿飛佐助。
「帰って洗濯物取り込んで、それから夕飯にして…あ、美容院にちょっと寄ってから帰ろうかな〜」
独り言を言いながら帰り道を歩く。
彼女はこう見えても新米美容師につい先日なったばっかりである。
仕事仲間でもあるかすがに聞いておきたいことがあったので、そっちに寄ってから帰ることにした。
「…近道しよっと」
大きな道を曲がって路地に入る。
民家と民家の細い間を抜け、ついたのはフェンスの前。
ここを飛び越えると美容院へ近いのだ。
フェンスの向こうの地面はここよりも一メートル程低い。
フェンスの高さを考慮すれば二メートル弱の高さがあるが、身体能力の高い佐助にとっては何てことない高さなのだ。
買った品物が落ちてしまわないように持ち手の部分同士をしっかり結んで抱える。
「よしっ」
フェンスの下側に足を掛け、一番上に手を乗せてから力を入れる。
体を持ち上げフェンスを飛び越え着地。
…のはずが、どうも荷物が重かったらしく足が引っ掛かってしまった。
「げ!!」
顔から地面に落ちる寸前に目に入ったのは人の姿。
「あ、危ないー!!!!」
叫んだが時すでに遅し。
佐助は下に居た通行人にダイブしてしまった。