小十郎×佐助

□一万個の星の下で
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「あ゛〜、寒い…」

春も近くなり始めた日の夜。
佐助は木の上に居た。
冷えてしまった身体を温めるように擦りながら、四方に目を向ける。

現在、武田軍は伊達軍と手を組み、織田を打つための作戦を実行している。
佐助もまた、その作戦の一つの要として動いている。
今は、夜の見張り中。
春先とはいえ、まだまだ夜は寒い。
カタカタなる歯を佐助は必死で堪えた。

「猿飛様、交代です」

忍の一人が佐助に近づいて交代を知らせた。

「ありがと。後、任せた」

佐助は急いで木から降り、幸村の元へと走っていった。

大きな広い草原を通り抜けようとすると、その真ん中に人影が見えた。
警戒するが、すぐにそれを止める。
そこに居た人物が誰だか、一瞬で分かったから。

「片倉さん」

草原の真ん中に佇むのは、恋人の小十郎だった。
小十郎も佐助と同じく、今回の作戦の任務についている。
走って行って、思いっきり抱きつく。

「見張りご苦労だったな」

小十郎は労う様に佐助の頭を撫でた。
撫でられる感触と温かさに佐助は目を細めた。
さっきまで寒かったのが嘘のように温かい。

「何してたの?」
「星を見ていた」
「星?」

小十郎と同じように空を見上を見れば、輝く星が空一面に広がっている。
一寸の隙間もなく瞬く星で埋められた空は、息を呑むほど美しい。
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