小十郎×佐助

□狐化艶様 *
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「ったく…しつこいなぁ」

木に背を預け、走って熱くなった身体を冷ますように手で扇ぐ。
一体どれくらい走ったから分からない。
とりあえず疲れた。
地面に耳をくっつけて足音を確かめる。
敵の数が一向に減っていなくて嫌気が差した。

長期任務の終盤でうっかり敵に見つかってしまった。
敵の領地を抜ければ逃げ切れると思っていたのだが、案外しつこく追いかけてくる。

「あ〜、もう…しょうがない」

力を温存しておきたかったが状況が状況だ。
右手を型作り、顔の前に翳す。
神経を集中させ、術を発動する。

「変化!!」

ヒュウと風だけが虚しく流れる。

「………あれ?」

口に出した通り、変化の術を使おうとしたのだが…変化していない。
自分のいつもの手が目の前にある。
どうやら失敗してしまったらしい。

「嘘だろ〜…」

変化の術は体力を使う。
それ故に避けていたのを緊急事態だから使用したのに、失敗だなんて元も子もない。
むしゃくしゃして頭を抱えた時に、何かが手に当たった。

「え?」

そこにあるモノにゆっくり手を触れる。
 
 
 
 
 
「えええぇぇー!!!!」
 
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