小十郎×佐助
□捧げる愛情
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「ふぅ…」
小十郎は持っていた鍬を地面に突き刺すと、静かに息を吐いた。
近くにある大きな岩に腰をかけ畑を見渡す。
寒さが例年より幾段厳しかったが、それに負けず逞しく育った野菜に笑みを溢す。
手拭いを頭から取り去り、額に浮かんだ汗を拭う。
ふと気配を感じ、振り返らず背後へ声を投げ掛ける。
「何隠れてんだ?」
声を掛けた方の茂みがカサッと揺れ、忍が姿を現した。
「あら、バレてた?」
「丸分かりだ」
茜色の髪を揺らしながら出てきたのは佐助だった。
ハニカミつつ小十郎の側に歩み寄る。
小十郎は自分が座っている岩の隣を叩いた。
ここに座れ、という意味を込めて。
佐助は笑顔で隣に座ると小十郎の腕に抱きつき、肩に額を押し当てた。
猫耳としっぽが見えそうなくらい、佐助は甘えるように小十郎に擦り寄った。
「汚れるぞ」
「いい、ここに来るまでに散々汚れたから」
佐助は中々に強情な部分があるから、これ以上言っても無駄だと思い、佐助のさせたいようにさせることにした。