小十郎×佐助

□乱世にそぐわぬ誓いとて *
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「ぐあああああっ!!」

断末魔の叫びが響く。
暗い闇の森の中、影が一つゆらりと動いた。
闇に紛れるような黒い服と黒い口布。
浮かぶ白は目元の肌の色、浮かぶ茜は髪の色。

その者の名は猿飛佐助、実力のある忍だ。

今しがた任務を終えたところだ。
敵の忍の体を貫いた刀を抜き、血を掃う。
夜のせいと黒い服のせいもあってよく分からないが、
佐助の体は返り血で赤く染まっている。

「…何人殺したかなぁ」

さも興味もなさそうに一人呟いて、佐助は覆っていた布を外した。
途端に鼻腔を掠める血の臭い。
もう、慣れた。
血の臭いなんて嗅ぎ飽きた。
とりあえず風呂に入りたい。
佐助は周囲に意識を向けて、辺りにもう敵がいないか伺った。
風の音だけが耳に響く。

「よし…帰ろう」

敵の気配がないのを確認してから、佐助は城の方角へ向けて枝を蹴った。





城に帰ってすぐに佐助は風呂に入った。
忍装束を着たまま浴室に入り、そこで服を脱ぐ。
血が固まって脱ぎ難い。
それでもなんとか全部脱いでお湯を被ると、薄っすら赤く濁った湯が床を染めた。
丁寧に髪を洗い、ついでに服も洗濯する。

「…もう、これ駄目かな?」

どれだけ血がついているのか分からない。
洗っても洗っても滲み出てくる赤色に佐助はため息をついた。
まあ、いいや。
佐助は洗濯を諦めると、湯船にも浸からず風呂を出た。
適当に服を着外に出と、柔らかな夜風に風呂上りの体が震えた。
 
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