政宗×幸村

□物理的距離を越える…
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日増しに寒くなっていく時期。
幸村はいつものように早起きをして朝の修行に勤しんでいた。
早く起きるのはあまり得意ではないが、これもお館さまの上洛の為と思えば苦にもならない。
最近は涼しくなってきたので、動いても熱中症になってしまうような事態にはならないので大いに感謝している。

「冬に早くなるとよいのに」

冬は寒いが、寒いのは動けば温かくなるので好きだ。
こたつを出して、お館さまと佐助と3人で佐助手製の鍋を食べて。
みかんを食べて。
雪が降ったらかまくらを作ったり、雪合戦をしたり。
楽しいことがいっぱいだ。
ただ一つ雪が降ると困るのは、奥州へ行けなくなってしまうことだ。
積雪の激しいあの地域では、雪の多い日にはそれこそ自分の腰程の高さの雪が積もるらしい。
人づてに聞いた話なので定かではないのだが。

「冬になったならば、どうやって政宗殿に会いに行こう」

奥州の竜と恋人になってまだ月日がたっていない。
これが二人にとって初めての冬となるわけだ。
経験が無い上に、地理の知識もない幸村にとって難題だ。
普段頭を使うようなことはしないから、頭が熱くなってくるような気がした。
まだ冬にもなってないのに、先のことを心配する辺りが幸村らしい。

「…政宗殿」

政宗のことを考えていたら、急に政宗に会いたくなった。
佐助や他の武将達の話によると、今はどこも戦をしていないという。
もちろん、自分も戦を控えているわけではない。
暫く考えて、幸村は信玄のいる部屋に向かって廊下を走った。
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