政宗×幸村
□一万回の口付け
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「痛いでござる〜」
幸村は片足でけんけんをしながら水飲み場に向っていた。
地に着いていない足の親指の先が血で滲んでいる。
つい先程の体育の時間。
つい熱中して本気を出す為に裸足で走って、石に足をぶつけてしまったのだ。
保健室にでも行けばいいのだが、幸村は保健室の明智が苦手だった。
以前、カッターで切ってしまった指を治してもらったのだが、その時の惨劇たるや。
傷が綺麗に治ると言われ訳の分からない物凄く染みる薬を塗られたのがトラウマになってしまい、保健室に行けないのだ。
外にある水飲み場に辿り着いて蛇口から水を出す。
淵に乗せようと足を上げた時。
「Hey、幸村」
聞きなれた声の方を見れば、政宗が居た。
「政宗殿」
「何してんだ?」
「足を怪我してしまいまして…傷口を洗おうかと」
政宗に怪我した足を見せると、政宗は怪訝そうな顔をした。
「保健室に行け」
「嫌です!」
「何でだよ?」
「明智先生が…苦手なのです」
情けなく眉を下げる幸村。
政宗のため息が聞こえた後、淵に座らされた。
「政宗殿?」
「ジッとしてろ」
ポケットからハンカチを取り出すとそれを水で濡らし、幸村の傷口を拭った。
「ま、政宗殿!ハンカチが汚れます!!」
「構うかよ」
傷口にあまりふれないように、優しくハンカチが撫でていく。
「いたっ…」
泥がついている部分を丁寧に拭くと、傷口に当たってしまったのか幸村が小さく声を上げた。
「あ、悪ぃ。大丈夫か?」
「平気です」
政宗に心配かけまいと、幸村は笑顔を見せた。