政宗×幸村

□秘密基地
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「まさむね殿〜」

自分の名を呼ぶ幼い声。

「幸村、ちょっと待ってな」

政宗は読んでいた本を納め、入り口に近付き縄ばしごを下ろしてやった。
その下ろされた縄ばしごを登って一人の少年が上がってきた。

「幸村、今日は稽古は終わったのか?」
「はい!!今日もゆきむらはちゃんとけいこをしました」

元気一杯に答える少年を良い子良い子と頭を撫でてやると、嬉しそうに笑った。



ここは政宗と幸村の秘密基地。
元々は政宗の知り合いが面白半分で大樹の上に作った秘密基地を、政宗が譲り受けたのだ。
木とトタンで出来た簡素なものだが頑丈で、跳んだりしても平気だ。

秘密基地なんて高校生の政宗にしてみれば些か合わないが、森の中にあるので静かだし、読書をするにはもってこいなので、多いに活用している。

政宗だけの秘密基地。
今は二人に増えている。

「さすけがダンゴを持たせてくれました」

タッパーに入った団子を嬉しそうに見せる少年の名前は幸村。


政宗の父親変わりの小十郎には恋人がいる。
佐助という男だ。
最初、小十郎の恋人が男と知った時には驚いたがあまり気にならかった。
元々女だ男だにこだわるタイプではないし、紹介された時、佐助の横に居た小さな少年の方が気になっていたから。
佐助が預かっている子、それが幸村だった。


「佐助は相変わらず料理上手いな」

タレののった団子を見て政宗は感心した。
当初は幸村に釘付けで佐助を気にしていなかったが、政宗は佐助を認めていた。
小十郎が選んだ相手なのだから間違いはないだろうし。
今は時々遊びに来るくらいだが、近々一緒に住むことになる予定だ。
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