元親×元就

□病
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夏。
日差しが照りつけ、瀬戸の海がそれを反射させキラキラ輝いている。
天気は快晴、雲一つない青空。

「…お前ってやつは」
「うるさい…」

そんないい天気の日に室内にいる元親と元就。
元就に至っては布団に横になっている。
どうして元就が寝ているのかというと、日射病にかかってしまったのだ。

「こんな馬鹿天気のいい日に、外でずっと日光浴びてたら倒れるに決まってんだろうが」
「うるさいと言っておる…」

口は動くが声の大きさに元気がない。
日輪大好きな元就にとって、快晴とは日輪を崇め奉るにはまさに最高の日なのだ。
そんな日に外に出て日輪を拝まないわけにはいかない。
まあ、その大好きな日輪にやられてしまったわけなのだが。
頭はいいのにそういう肝心なところが抜けているのだ。
そこもまた可愛い、なんて口が裂けても言えない。

「…今日はどのような用事で参った?」
「ただ単にお前に会いにきた」
「…そうか」

いつも通りの理由にそれ以上言葉が出てこなかった。
単純に今は頭がフラフラするので言い返しも出来ない。
こういう弱っている時にかぎってこの男は現れる。
情けないことこの上ない。

「今日はいい天気だろ?」
「…そうだな」
「日輪が綺麗に出てるからお前大喜びしてるだろうな、って思ったら急に会いたくなって」
「それで、会いに来たのか?」
「おうよ。そりゃもう部下たちに船漕がせまくって来た」

どこまでこの男は…。
だが、惚れられて想われているのは悪くない。
寧ろ嬉しい。
口に出しては言わないが。
元就の顔が赤く染まる。
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