元親×元就

□一万回の愛の言葉
1ページ/3ページ

「元就〜、なあ、元就ってばよ〜」

しつこく何回も名前を呼ぶ声が部屋に響く。
元就はノートから顔を上げ、怪訝そうな目を目の前の五月蝿い男に向ける。

「うるさい!静かに勉強出来ぬのか、貴様は!?」
「だってもう2時間もぶっ続けでやってんだぜ?休憩しようぜ〜」

そう言われて時計を見れば、確かに勉強を開始してから2時間たっている。
元就からすればかなりあっという間の時間だった。

「貴様が我の集中を切らねば後2時間はいけたな」
「マジかよ!?お前…人間か?」
「貴様に言われたくないわ。…しょうがない、休憩するか」

元親の集中力では2時間が限界なのだろう。
まあ、30分たった頃からソワソワしていたような気もするが。
普段勉強したいないからこういうことになるのだ。
元就は重たい息を吐きつつ、正座していた足を崩した。

今日は土曜日。
元親の家で試験勉強をしているのだ。
発案者は元親なのだが、どうも勉強する気がないみたいだ。
所詮は我と一緒に居たいという口実なのだろう。
自分で言って何だか恥ずかしいが。

「エネルギーチャージしねぇとな」

そう言うと元親は元就の方に歩み寄って後ろから抱きついてきた。
ギューっと隙間なくくっついてくる元親。

「な、何がエネルギーチャージだ!!これのどこがそうなんだ!?」
「俺にとっては十分エネルギーチャージになるんだよ」

肩口に埋めていた顔をあげ、頬に摺り寄ってくる。
元親の張りのある温かい頬の感触に、堪らず顔を背ける。
それでも尚、身体を寄せてくる元親。
全身を包まれて、ダンダン体が温かくなってくる。

「元就、いい匂いするな」
「そんなこと…知らぬ」

この甘ったるい空気が元就は苦手だった。
どうしていいか分からなくなる。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ