元親×元就
□弱みを僕へ
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急げ、急げ、急げ。
廊下を駆け抜け、階段を2段とばしで降りて、曲がり角を曲がってすぐの部屋の扉を勢いよくを開く。
「元就!!」
「うるさい」
返事の変わりに冷たい声と枕が飛んできた。
顔面に思いっきり当たってしまい、その場に蹲る元親。
「っだー…」
「廊下を走るな。扉を開ける前にノックをせよ。保健室では静かにしろ」
凛と通る声での説教など耳に入らない。
痛む顔を擦りながら顔を上げる。
「そうじゃねぇ!!足怪我したって」
「ああ、これか」
さも今まで忘れてたと言わんばかりの口ぶりだ。
スカートから伸びる足を上げられ、真っ白な包帯が巻かれた足がさらけ出される。
「少し捻っただけだ」
「な、んだよ…よかった……担がれたって聞いたから」
安心したせいか再びその場に蹲る。
放課後いつものように部活をしている時のこと。
慶次がいきなり部室に飛び込んできた。
「何だ、どうした?」
「大変だ!!元就さんが保健室に担ぎこまれたって」
一瞬耳を疑った。
だが元親を動かすには十分な一言だった。
気がついたら反射的に身体が保健室へ向いていた。
「何してて足捻ったんだ?」
「先生に頼まれて荷物を運んでいたのだ。中々重くてな、それで階段から足を踏み外してしまった」
「…言ってくれれば手伝ったのによ」
「貴様は部活中であっただろうが。それに、我が頼まれたことだ。それくらい自分でする」