元親×元就

□幸せの日々
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「のどかだ…」

元就は柔らかい陽光に包まれながら一人呟いた。
気温は低いが、降り注ぐ日光が体を温めてくれる。
元就は縁側に座り、お茶を飲んでのんびり過ごしていた。
兜や防具は身につけておらず、軽装だ。

「…こんな日が続くとよいな」

織田は滅び、豊臣ももうすぐ消える。
伊達と武田の連合軍の勢いは今や最高潮。
時代が変わる時も近い。
本当は自分が天下を統一したかったのだが、豊臣の攻撃により軍は弱体化。
今は伊達と同盟を組み、援護の立場にある。
戦線から一歩引いた自分に与えられたのは微かな敗北感と…安堵。

ピンと張っていた線が緩んだ、そんな気分だった。

「よう」

声のほうに顔を向ければいつものように大股で近づいてくる男の姿。
長曾我部元親。
元就と同じく豊臣により痛手を被った長曾我部軍も、今は伊達と同盟を組んでいる。
元親は元就とは違い、要請があれば喜んで戦場に身を投じている。
確か一週間程前から戦をしていたはず。
今ここに居るということは、ちょうど戦が終わったのだろう。

「戦況はどうだ?」
「上々。もう少しで豊臣も落とせるだろうな」

嬉しそうに報告しながら元就の隣に腰を下ろした。
元親から潮の香りがする。
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